目覚めた先

 「ぐわっ!」

 俺は地面に落ちた。

 「いでででで…ここはどこだ?」

 俺は辺りを見渡す。そこには、見知らぬ屋台が幾つも並んでいた。

 「何だここ?」

 俺は茶色のTシャツらしきものを着た男に話しかけた。

 「あの、すいません。ここは?」

 「ん?ここはアリグス国の首都、メリンボだが?」

 「アリグス国?メリンボ?」

 俺は意味不明な言葉で頭がいっぱいだ。しかも、180センチはありそうな男より、身長が小さい気がするし、声も若々しい声だ。

 「てか、君。君は王様に認められた勇者なのだろう?早く城に行った方がいい。王はせっかちな人でな。気を付けた方がいい」

 「その城がわからないのだが」

 「そうか。じゃあ俺が案内するよ」

 俺は男に付いていくことにした。しかし、向かった先は路地裏。

 「コイツです。兄貴」

 すると、奥から屈強そうな男が現れた。ほう。嵌められたという訳か。

 「ケケケ。お前は金持ちの息子らしいな。金を出せ」

 その男は何かと俺を殺したチェフに似ている。イライラしてきた。

 「ふん」

 俺は試しに奴の鼻を殴ってみる。

 「ぐばあっ!」

 男はすぐに鼻を抑える。地面には、血が垂れていた。

 「なっ。テメェ兄貴を!ガキだからって容赦しねぇぞ!」

 屈強男の舎弟らしき奴がナイフを出す。

 「死ねぇっ!」

 奴はナイフを突き出す。しかし、それは見えている。俺は奴の腕を自分の腕で絞め、頭突きをかました。

 「くぼふぅ!」

 舎弟も鼻を抑える。

 「くっ、糞ぉ!次あったら容赦しねぇぞ!」

 男達は逃げていった。

 「まったく。スタートから嫌な事が始まりやがった」

 「君、ちょっといいかい?」

 「何だ今度は?」

 俺は後ろを振り向くと、そこには甲冑を着た人がいた。

 「君が例の…早く来なさい」

 俺はソイツに腕を掴まれ、城まで行った。

 そして、その城の核、いわば王がいる部屋まで行った。

 (オイオイ、まるでRPGみたいだ)

 「君が、勇者の紋を持つ者か?」

 「は?」

 「確か君は右の前腕にそれがあるはずだ。見せてみなさい」

 俺は右腕の袖をまくる。そこには、確かに紋らしきものがあった。

 「これですか?」

 「あぁ。それが勇者の紋だ」

 「それで、何の用で俺を呼び出したんです?」

 「それは、君に悪の魔王を倒してもらうためだ」

 「悪の魔王?」

 「悪の魔王。奴は数千年前に勇者が倒した筈だった。しかし、奴は数年前に蘇ったのだ」

 「蘇った?」

 「あぁ。誰かが蘇生の呪文を唱えたのだろう。魔王が蘇った事により、何百人もの死者が出た。だから、魔王、『ジェミー』を倒してくれ」

 その途端、俺は神に言われた事を思い出した。

 『転生の刑』

 (まさか、異世界に転生するとはな…道理で中世っぽい奴や呪文という言葉があるわけだ)

 「その前にだ。一旦とある男と戦ってもらう。折角の勇者が、戦えなかったら困るからな」

 そして、俺と王様達は外に出た。

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