第10話意識不明な王子
地獄の空気感の馬車を降り、ようやくついた王城に俺はホッと息を吐いた。
と言うか今更なんだが何でシャロの奴はついて来たんだ?
今日は父上と俺とユウリの3人で国王陛下にちょっと話したら終わりだろ?
それとも本当にアイスクリームを食べる為だけについて来たとか無いよな?
そのぐらいだったら別に買って帰ってやったのに……
そんな事を考えながら俺達に用意された部屋で一旦シャーロットとは別れて、俺とユウリと途中で合流した父上と一緒に国王陛下の居る玉座の間へと向かった。
「面を上げよ」
「ハッ」
「「……はい」」
玉座の間に入り国王陛下の前で俺達は、父上を横目にその真似をしながら跪き続くように国王様に挨拶をした。
それから少しの間静寂が玉座の間を支配した。
その静寂を始めに破ったのは国王陛下だった。
「いや〜まさかリッツとゲイルの子供が婚約するとはな〜」
「アレク……では無く陛下、一応ここは公式の場ですのでそう言うのは……」
「ハッハッハ!良いでは無いか我らの仲じゃないか!それにしてもまさかあんなに学生時代険悪だったリッツとゲイルがな〜」
先程まではこちらを威圧してるかの様な貫禄のある国王陛下が、いきなりくっそ馴れ馴れしい態度になった事にユウリは驚き俺の方を見てくるが、俺も初めてこれを見た時にはめちゃくちゃ驚いたので、出来ればユウリにもその時の衝撃を感じて欲しかったので、あえてこの事は黙っておいた。
俺やユウリは国王陛下に婚約関連について色々と話を聞かれたが、俺は正直まだユウリとは出会って1ヶ月しか経っていない為、聞かれてもうまく答えられないのでそれ適当に流しながら話し、そんな適当な俺とは違いユウリは国王陛下にめちゃくちゃ丁寧に話していた。
その後父上と国王陛下はまだ積もる話があるらしく、俺達子供は解散となり、シャーロットが食べたがっていたアイスを食べにでも行くかと話し合いながら、俺達に用意された部屋へと向かうと、そちらの方から何やら少し言い合っている声が聞こえた。
「ん?誰か喧嘩でもしてんのか?」
「本当ですね。………………ってこの声シャーロット様の声では?」
「!?」
今までシャロが怒鳴っている声を聞いた事が無かった為、ユウリに言われるまで気が付かなかったが、よくよく聞いてみるとその声は紛れもなくシャロの物で、何か事件にでも巻き込まれたのでは?と考えた俺は居ても立っても居られずユウリを置いて、シャロの元へと若干の風魔法を使用しながら全力疾走で向かった。
するとそこにはここからではよく見えないが、誰かを庇っているシャーロットの姿と、シャーロットに向かって手を振り上げている金髪の少年が立っており、俺はそのまま勢いで金髪の少年に横からドロップキックをかまして、倒れた所を馬乗りになってマウントポジションから殴り続けた。
「てめぇ!何処の誰だかしらねぇが、うちの妹に手を上げようとはどういう了見だ!あ"ぁん?」
そうしてそこでようやく相手の顔を確認すると、何とびっくりお相手さんは、この国で1番偉い人の息子にして王子の、キール=トワイライト第一王子であった。
「わぁーお!俺ったらやっちゃったZE⭐︎」
そうして話は最初に戻る。
――――
俺とシャロがこの状況をどうすれば良いかと2人で話し合っていると、ここまで走って来たせいか呼吸が乱れに乱れまくったユウリが、この惨状を見て絶句した。
「えっ…………あの、これってどう言う状況ですか?それとこの倒れている人はどちら様ですか?」
「あーこの倒れてる人ね。この人はキール=トワイライトって言ってここトワイライト王国の第一王子で、それで何で倒れてるかと言うと、俺が横からドロップキックして、その後馬乗りでフルボッコにしたからかな?」
それを聞いたユウリはあまりの事に唖然として固まってしまった。
そんな事を俺たちがやっていると、シャーロットの背後からフワフワの金髪ロングの少女がひょっこりと顔を出した。
「あ、エリス様……」
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