俺の部屋
俺が住んでいるアパートは築四十年だが、一度リフォームを行っている為古臭く感じない。
かと言って築年数一桁の最近建った建物のように綺麗でもない。住宅街の一角にあるごく普通の集合住宅だ。
俺が住んでいるアパートは毎週火曜日と金曜日がゴミの収集日であり、収集日には出勤前にゴミ捨てをする。
市の指定の燃えるゴミ袋と鞄を持って外へ出ると、少し肌寒い風が冬の訪れを感じさせる。
ここ最近は猛暑が終わったかと思えばすぐに寒くなる。秋が短くなったものだ。
指定のゴミ置き場にゴミ袋を放り捨てると、アパートの窓から視線が感じた。
アパート二階の窓からじっと俺の事を見ていたのは、長い髪に隠れてはっきりと顔が見えないが若い、多分二十代ぐらいの女だった。
今日は天気も良い。外でも見ているのかと一瞬考えたが、感じた視線は気のせいでは無かった。
女は窓から明らかに俺を見下ろしている。不快感を伝える為に俺が女を睨み返しても視線を逸らそうとするどころか、じーっと俺を見続ける女。
なんだコイツは、こんな気狂いが同じアパートに住んでいるとは今まで気が付かなかった。
一体何号室の奴なんだ?
女が立っている部屋が何号室か分かった途端、サッと血の気が引いて全身を冷たい何かが駆け回った。
青ざめた俺の顔を見た女は口の端を吊り上げてニタァと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます