たまには映画以外も
私はあまり外が得意ではなく、映画館以外の場所にはあまり立ち寄らない。
特に日差しが強いところはだめだ。
生まれつき光を強く感じるため、夏は苦手だし、ほんとは映画だって観ててチカチカする時もある。
それでも私は映画が好きだし、映画から得られるものは私のこの思いより上回っていると思っている。だから、今でも映画を見続けているし、映画館に通い続けるいる。
「そいえば…。今日はいつもよりも長い時間外出できるんだったなぁ。」
口の中で炭酸がパチパチと弾ける。
今日は少し曇り気味で炭酸日和とは言えない。
まぁ、炭酸はいつ飲んでも美味しいのだけれど。
「その炭酸美味しい?
僕あんま好きじゃないけど」
「私、炭酸ならなんでも好きだから。まぁ1番好きなのは四ツ谷サイダーですけど。」
「そいえば、さっき言ってた長い時間外出れる?みたいなの…」
「ああ、門限あるんですよ、うち。
親ちょっと厳しくて。」
「そっか。
今日、どっか行きたいとことかあるの?
君が映画館以外に行きたいところあるようには思えないけれど、、、。」
「うーん。せっかく長く外に出てられるから…少し遠くとか行ってみたい…かな。」
「海…とか?今日はあいにくの天気だけど……」
海なんて最後に行ったのはいつだろう。
夏の海は騒がしくてあまり好きではないけれど、冬の海は己の穢れを祓ってくれるようなそんな力があるように感じられる。感じられるだけだけど…。
「海か…いいね。」
「あっつい。」
さっきまで曇っていたはずなのに、海に着く頃にはすっかり晴れていた。
「運転、ありがとう。」
「いえいえ。車酔いとか大丈夫だった?
まだ僕免許とってそんなにたってないからさ…」
「うまかったよ、大丈夫。」
どうやら海開きシーズンは終わっていたらしく、人はほとんどいない。
私と彼は靴と靴下を脱ぎ、海水で足を濡らす。
「髪…結ぼうか?」
彼は声をかけた。岩の間にいる小魚を触ろうとして水面に髪を落とし、何度も煩そうに髪を耳にかける私を気にかけてくれたのだろう。
「うん…髪ゴム持ってるの?」
「じゃーん。いつも手首につけてるんだー。」
「なんか女々しい」
「あー!笑わないでよ!」
生ぬるい風が吹いて…
飛行機雲が線をかいて…
深く広い海を見てると
私が押したあの背中がちっぽけに思えた。
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