第130話 省エネ試行錯誤
87層の始まりの階段で休憩。
本来なら降りる階段前で休憩するところだが、86層はギミックの関係で特殊なのだろう、階段周辺にスライムが出現して落ち着かなかった。
ダンジョンの床や壁から光の粒が出て、綿毛のようにゆっくり飛んで集まり、魔物の形をとる。なかなか興味深くはあったが、遅いとはいえスライムがにじり寄ってくる場所でゆっくりする気になれない。
魔物から奪った能力の使用は、気力を使う。ここまで減ったのは、ずっとマダラから奪った能力の『棘』だけで進んだせいだが。
気力回復の絨毯を求めたい、宝箱の中身が絨毯とは限らんが。とりあえずこの生命回復絨毯はオークションに出そう。
87層のドロップは、『瀬戸内の黒鮑』『房州の黒鮑』『蝦夷の鮑』などの鮑。『エメンタール』『グリュイエール』『テット・ド・モワンヌ』『ラクレット』のチーズ類。
鮑とチーズはわかるとして、『北海道の男爵』『北海道のメークイン』『北海道のトヨシロ』『長崎のじゃがいも・1』『アメリカのじゃがいも・4』『ペルーのじゃがいも・1』……。
じゃがいもに混乱が見られる。さすがあちこちで主食を張るだけある? 果たして私に使い分けができるだろうか? その前に見分けか。
全く自信がないので、男爵とかメークインとか品種表記のある北海道産に落ち着くことが確定した気がする。
帰ったらじゃがいもを蒸して、チーズか明太子を乗せよう。
魔物の種類は何だかわからんが、魔法を使う丸くて浮いているもの。おそらく目玉の魔物の類なのだが、全部黒いとただの黒いボールである。角度によって偶にまつ毛が見えていたような気もする。
属性ごとに3種出ていたのかもしれんが、それも謎のままである。能力奪取で魔法のカードは色々増えたのでよしとする。
88層スライム。
攻撃を跳ね返すタイプのようだが、「刺突」や「貫く」属性に弱い。
苦無の勝利である。1本目の苦無でスライムと接触して、【天地合一】で核の存在を探し、スキルにより2本目の苦無を放つ。
【スキル奪取】で奪ったカードを使うより、さらに気力の減りの激しい戦い方だが、面倒がないし速い。
【天地合一】で探れる範囲が広がれば楽なのだが、まだ自分の手の届く範囲ほどしか効果がない。
強化はしているものの、リトルコアのカードから得た能力は、『変転具』に属する能力なため、能力の向上は【生産】と頭割りになる。
ああ、刀で突けばいいのか。
人間相手なら、深く刺されば致命傷が期待できるし、浅ければ刀の戻しも速いのだろうが、魔物相手だとそうはいかんことが多く、刀を引き戻す動作を厭って普段はやらないこと。
だがこのスライムの核の破壊は一撃で済む上、引き抜くまでもなく光の粒に変わって消える。
そうと分かれば省エネである。
ドロップは『光の触媒』や『闇コウモリの皮膜』、『炎の吐息』など生産素材。どれも触媒や他の素材の能力を引き出す呼び水として使う補助素材、使える範囲が広い――あまり深く考えたくないが、ダンジョン攻略用の料理にも使う。
時々、攻略用の料理は本当に料理のカテゴリでいいのかと思ってしまうのは、私だけなのだろうか。
89層は『蒲郡の黒むつ』『北陸の赤むつ』『鹿児島のむつ』、『スペック』『プラハハム』など海外の各種ハム、ハムとついていなければハムだとわからん。
そして、『メキシコのクリオロカカオ』『ベネズエラのフォラステロカカオ』『カリブのトリニタリオカカオ』。
確かチョコレートの主原料だったか。一からチョコレートを作るのはハードルが高くないか? 調べないことには分からんが。
まあ、リトルコアから出た苺のおかげで鷹見さんが紹介できそうなケーキ屋……スイーツ屋を選定してくれているようだし、これも鷹見さんを頼ろう。
鷹見さんに頼ってばかりだが、飲食店への販売ルートなど知らんのでしょうがない。鷹見さんの思惑とも合っているようだし、お互い様ということで。
そんなこんなで90層リトルコア。85層のリトルコアに特に苦労をしなかったのでチャレンジである。元々100層前までならば、そう不安に思うこともない。
装備が揃っていなくても速さがあるので避けられる。100層を超えると魔物に広範囲攻撃や必中が増え、流石に当たるようになるが。
ダメージ的にはそう多くないものが大半なので、防御を上げてある程度防ぎたいので依頼済みなのである。
150層を超えると、ダメージもえげつないスキルを使い始めるので、また装備を考えなくてはならない。ただ、素材を拾わないことには依頼のしようがないというか、一から全部買うと金がかかるので100層に進んでから考える。
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