第68話 増やしたい収納
自宅のダンジョン一部屋目。
溜まっているカードの整理。カードを種類ごとに分け、自分で使うものを抜き出す。
次に鷹見さんに相談が要りそうなもの、関前さんのところに直接持ち込むもの、特定の客に販売するもの、オークションに流すもの――と、分けてゆく。
同じところをうろうろしているので、手に入れるカードのほとんどは、すでに何に分類するか決定済みなため迷うことはない。
『強化』は現在、3枚に2枚の割合で【天地合一】に使用中。日本刀は分岐が出るまで強化済みで、分岐させるためのアイテムが揃っていないため打ち止め中。
揃っていないというか、分岐に使うアイテムは強い魔物が落とすものの方が、分岐先の能力が向上する。
コートの分岐で必要になるアイテムは、何か『黒い宝石』、何か『黒い皮』もしくは『黒い布』。これは『黒真珠』と『ブラックドラゴンの皮』『堕天の黒衣』を確保してある。
苦無の分岐は何か『銀色の金属』と『闇』のつく何かか『赤い液体』――という具合で、日本刀は何かの『鋼』と『月』のつく何かと『刃』のついている何かだった。
低層で手に入るものなら売っているしすぐに揃うのだが、深い層のものはなかなか難しい。戦っている時に必要としたことが分岐先に出やすいので、深い層に行ってから分岐を出したいこともあり、保留中。3枚に1枚は日本刀に使うつもりで取っておいている。
――時々誘惑に負けてコートに『強化』を使っているが、だいたいこんな感じ。この『強化』の素材、魔物から奪った能力カード、各種ドロップ、コートの【収納】はいつでも圧迫されている。まるでうちの冷蔵庫のようだ。
冷蔵庫といえば、ダンジョン用の冷蔵庫がそろそろ届くはず。魔石1つ分で冷えるものなので、大きくはない。まあ、自力で地下に運ぶことになるのでちょうどいいといえばちょうどいい。
カードを分け終えた後は弾丸作り。さっさと作ってイレイサーに通じる箱に入れて終了。弾丸を作る前、炸薬の材料として色々な物を粉状にする方が時間がかかる。
薬瓶といい粉にする工程が多いな。何も考えずにかりかりごりごりするのは嫌いではないのでいいのだが。
弾丸については、イレイサーのダンジョン攻略が最初は速いことが予想される。前段階の素材加工をしておいても、次の強さの段階に移行してしまい、使わないままになることが予想されるので、あまり作っていない。
ダンジョンでの気になっていた作業を済ませ、今度は放置していた靴の手入れ。慣れているのもあって、山歩きも畑作業も
長靴の方がざっと洗うだけで済んで楽なのかもしれんが、ぶかぶかしとるのはいざというとき走ったり踏み込んだりしづらく落ち着かない。
柊さんのように頻繁に畝を作るような土のかかりやすい作業を行うとか、雨上がりに畑にゆくとかであれば長靴のほうが便利なのだろうが、すでに広い畑の管理を諦めた私にはこれで十分である。
最近は買ってきた土の袋に穴を開けて、そのままそこに苗を植えることを覚えた。水抜き穴は作るが、土が流れ出すほどではないし、虫の侵入もある程度防げるし、いい感じだ。水の管理と土の温度が上がってしまわないかが少々心配だが。
そして冷蔵庫の整理。
冷凍室はそら豆、冷蔵室は鯛の切り身あたりをどうにかしたいので、本日の晩酌のアテはこれにする。
刺身と煮魚は続いているので、鯛はタルタルにでもしよう。そら豆はどうするか、塩茹でか焼くかだけでもいいが、一度冷凍してしまったからな。それに少しぴりりと辛いものも食いたい。
で、青唐辛子を素揚げして、カットして白味噌、麹味噌、柚子胡椒を加えて荒くすりつぶす。それをそら豆と和えて完了。
クリームチーズに塩辛を添えて、酒を用意してテーブルに運ぶ。塩辛は保つように塩をきつめにしたため、チーズがあるとちょうどいい。
つい色々なチーズを開けてしまい、これも場所をとっている。というか、油断していたら私の顔よりデカい丸で出てきたものが1つある。
明日あたり、ツツジさんと愛羅さんにお裾分けするか。手が空いた時でいいとは伝えたが、いつ頃になりそうか偵察と圧を兼ねて。
カードではなく『開封』した状態は微妙かもしれんが、一方で食いきれない量を渡して困るのも確かだ。ツツジさんはともかく、愛羅さんは私と違って交流範囲が広そうなので、譲る相手には困らないかもしれんが。
酒を飲み、アテをつまみながら本を読む。本日は昼がだいぶ遅かったので、夕食はこれでいい。
エビと鯛のタルタルはなかなか美味しくできた。刺身やカルパッチョとは違い、すこしねっとり絡みつつもエビと鯛の食感と味が広がる。
そら豆の辛味も好みにできた。2つを摘み、塩辛をちびちび食べつつ、酒を飲む。
それにしても蓮花と雪杜、椿と一馬の4人は仲がいい。仲がいいのはいいとして、配信はほどほどにして早くダンジョンを攻略してほしいな。
青葉兄妹にレンとユキの『化身』の姿を知られてないとしても、ツバキとカズマが隠していないので、生身のことは調べればすぐに紐づけられる。
いくら青葉の2人が簡単に移動してこられないとはいえ、少々心配だ。外では警察沙汰でも弁護士でもどうとでもしてくれと思うが、ダンジョン内で会って返り討ちにされたら困る。
最悪その場に立ち会えれば、イレイサーでなく私が暗殺――落ち着け私、今は一般人、今は一般人。
翌日、ダンジョンに行ったらツバキに配信パーティーに誘われた。何故だ――いや、後ろでニヤニヤしている蓮花が原因なのはわかった。やらんわ。
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