第41話 称号の能力
地鶏をオークションに出す計画、あれはダメだ。リトルコアドロップで量が多く、私だって開けられずにいる。
リトルコアからも食材を得られるようになったのに、痛し痒し。リトルコアのドロップは、他の地域への配送の点では大歓迎されるものなのだが、個人では手に余る。
なんで今更そんなことを考えているかというと、25層のリトルコアと交戦中。しかも虫。チッチッチッと時計の秒針のような音が響いていたので見に行ってみたらいた。
虫には詳しくないのでわからんが、甲虫のようで、刀では大したダメージを与えられなかった。外側の殻に傷がついただけで、ダメージ自体は刀を打ちつけた時の打撃が少し、みたいな感じか。
傷の場所を何度も狙うか、接合部を狙うか、腹を狙うかのいずれかだ。集まって来た他の魔物は魚。群れられる前に倒す――というのがセオリーなのだろうが、いっそ集まってもらった方がまとめて倒せて面倒がない。
そういうわけで、苦無も使わず――苦無は貫通属性をあげているので、硬い殻も通る――刀でぴしぴしやりながら魚を倒している。
『カラフトマス』『青鱒』『ニジマス』『イワナ』は確認。
川魚は出回っているので、そこまでテンションは上がらない。さっさと倒すか。
リトルコアのドロップ、『クミン』『コリアンダー』『コショウ』『ターメリック』『カルダモン』『シナモン』『カレー粉』、その他。
瓶に入った『胡椒』の絵と『カレー粉』の絵! また開けられない数なんだが!? 800越えはどうしていいかわからん。
クソネコ! 生殺しか!? 本当に先に進んだら、同じものを落とす敵いるんだろうな?! 特殊なダンジョンだから、普通のパターンは当てはまらず、出ないとかいうオチはないよな!?
魚からは他に、『サクラマス』『ヤマメ』『ビワマス』『アマゴ』『サツキマス』。
岩魚と山女。箱火鉢で炭火焼きにしよう。灰を買ってセッティングは完了している。竹串もある。食べ比べせねば。
26層はゲルスライム2種。『インジウム』やら『ゲルマニウム』やら『アルミニウム』など、買取価格が常時高いものが落ちたが、高いといっても一度にドロップする量が少ないのでどうだろう?
24層の『金』『銀』ドロップも0.1g単位だったしな。もっと深い層に行けば、1g単位やインゴット単位になるので、日帰りで小遣いを稼ぐなら別だが、行けるのならさっさと深い層に行ってしまった方がいい。
さっさと行った方がいいんだがな? 目の前に牛が立ちはだかっている。27層の狭い通路で睨み合う私と牛。
見たところ、映像で見る牛と大差がない。今までも牛系の魔物は倒してきたのだが、だいぶ大きく感じる。外で牛に突かれたら最悪死ぬ、人間は
……丸のままドロップだろうか? お前、そのままの大きさでドロップするのか? 小分けにしてくれてもいいんだぞ?
心の中で語りかけつつ、向かってくる牛の魔物を斬る。当然ながら魔物は何も答えないまま、ドロップカードを残して光の粒となって消えた。
私の心配をよそに、ドロップは『
ホッとしたような、残念なような。だが、ドロップは嬉しい。無殺菌だがそもそもダンジョンのドロップに菌や寄生虫はいない。
鮭やサクラマスがバターで焼ける。あ、26層で『アルミホイル』も出ていたな、バターを落としてホイル焼きにしよう。胡椒、胡椒を開けたい……っ!
落ち着け、私。先に進むんだ、そんなにバターがあってもしょうがないだろう。でも高値で売れる気もする――後ろ髪を引かれつつ、28層。ゲルスライムの緑と赤、ドロップは『質のいい薬草』系。スライムは楽しくない。
ゲルスライムは粘液状のアメーバみたいなスライムなのだが、火で焼いてしまうのが早い。もしくは凍らせるか。私は魔法などの外に放出するタイプの能力は持っておらんので、
半透明なのだが、薄くのびて天井などに張り付いていると見分けが難しく、油断していると上から落ちてくるというスライムなのだが、ここでは赤黒いので。魔物の種類の見分けがつかないマイナスはあるが、隠れるタイプの魔物には馬鹿みたいに有利になる。
が、ゲルスライムの核がどこにあるのか赤黒くてわからん。一応、こっちに気づく前であれば、スライム内部の中央にあるはずなので、苦無を投げて対処。
外した場合は、魔物から奪ったスキルで焼き払って終了。カードのストックが減るので、30層以前ではあまり使いたくないんだが。だがここで出し惜しんでいても仕方がない。
リトルコアを倒すごと、黒猫が叶えてくれるダンジョン間の移動。
もしこのダンジョンの30層以降で、便利なスキルを使ってくる魔物が出なかったら、別のダンジョンに魔物のスキルを集めに行くつもりでいる。だが、いいスキルを使う魔物が出たら、ダンジョン移動の願いは酒が出るダンジョンにするつもりでいる。
なにせ昔仕事で行った時は、政府の依頼で運搬役も兼ねていたし、魔物のスキルのストックのために【収納】を使っているしで、酒の種類が思うようにならんかったので。
【収納】の『同一アイテムを
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