7色の怪獣達

ミンイチ

第1話

 ある日、日本に怪物が現れてその日のうちに無力化された。


 見た目はテリジノサウルスみたいだが、大きさが100mほどある上に大きくて赤い翼を持っている。


 食べ物は必要としないようで、無力化された後はずっと眠っている。


 寝ている間に解体して研究をしようとしたが、愛護団体が騒いだせいで研究に使えるのは体毛と爪だけになってしまった。


 しかし、それだけでもうまく研究に使えるだろうと少しずつ採取していったが、毛も爪も減ることはなかった。


 

 テリジノサウルスのような怪獣の研究が一段落した頃、今度はオーストラリアで発見された。


 見た目は日本の怪獣とほぼ同じだったが、羽の色が違った。


 見つかってからしばらくは軍による攻撃が行われたが効果はなく、最後にはエアーズロックの上に登って寝てしまった。


 そこから、日本とオーストラリアを含めて7つの国で怪獣が発見されていった。


 すべての個体で見た目が同じだったが、羽の色はすべて違っていた。


 どうにかして倒そうとする国もあれば、日本の八岐大蛇の昔話を真似て度数が高いワインを飲ませてとっとと寝させようとする国もあった。


 七匹の怪獣は全て眠りにつき、日本に怪獣が現れてから10年が経った頃に太陽系の外から白い怪獣が現れた。


 その怪獣は進路上にあるすべてのものを喰って、あるいは壊して来たらしく、周囲に小さな岩が漂っていた。


 その進路上には太陽も含まれていた。


 ありとあらゆる攻撃が行われたが、どれも大きな傷をつけることはできなかった。


 もうダメなのかと誰もが思った時、地球上に7つの光の柱ができた。


 光の根元には眠っていたはずの怪獣が今まさに飛び立とうとしていた。


 怪獣たちは同時に飛び立ち、地球と怪獣のちょうど真ん中のあたりで集合した。


 7体が集まったかと思うと、7色の光が混ざっていった。


 まるで紙の上のインクが滲んで少しずつ混ざっていくようになり、一時間後には全てが黒になっていた。


 その真ん中には白い怪獣と瓜二つな、しかし真っ黒な怪獣が生まれていた。


『まさかお前がここに来るとはな』

『その声は…まさか兄上!?』


 突如、地球にいるすべての人の頭の中に2つの声が聞こえてきた。


『お前はまだ星喰いをしているのか。

 もうすでに父上を肥えているだろう』

『父上を超えたとしても、兄上を超えてはいません!』

『そもそも、元の種族が違うのだから当たり前だろう』

『兄上の、わからずやぁ!』


 いくつものやり取りを聞いていると、そんな声と一緒に白い怪獣が一気に近づいてきた。


 それに対抗するように黒い怪獣は白い怪獣に一気に進んでいく。


 白い怪獣もかなりのスピードで飛んできているが、黒い怪獣の方がもっと早い。


 二匹の怪獣がぶつかって、しかし白い怪獣が力負けしてどんどんと地球から遠ざかっていく。


『お前には父上ではなく、母上に叱られろ』

『嫌だー!』


 最後に確認された時、白い怪獣は黒い怪獣に首根っこを掴まれてどこかに飛んでいく姿をしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

7色の怪獣達 ミンイチ @DoTK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説

池の淵からの手紙

★3 現代ドラマ 完結済 2話