オタクの多様性と誇りについて ~某スペインな所に行った話~

 元々オーストラリアに旅行行く予定だったんですけど、友人が碌でもねぇ奴だったので(半ギレ)消し飛びました。

 それでその代わりに三重県に行ったんですよね。というのも、某スペインな所では某ブイチューバーとコラボしているじゃないですか。去年の奴にも興味があって、次開催したら行こうかと思っておりましたので、行ってきました。


 ただ行った理由が単に「行ってみたいなー」という軽いノリで、それ以上でもそれ以下でも無いんです。言ってしまえば、あのお二方の動画はそれなりに見ておりますし好きなんですが、すんごいレベルのファンかと言われればそうでは無いです。


 まあそんなことはさておき、本題に入りましょうか。

 尚、ここでは「○○が良かった!」といったコラボ内容の具体的な感想では無く、飽く迄そこで見た光景を通じて考えたことを語るだけです。その辺りの感想は別の方を参照して下さい。


 某スペインな所がある志摩は場所が場所で、開園と同時に突っ込みたかった曼珠ちゃんは前日のうちに三重県に乗り込んでいました。ちなみに前日には伊勢神宮に行って松阪牛食いました。むっちゃ美味い。

 その日は早めに寝て、着替えて飯食ってチェックアウトしてさあ出発。泊まったホテルは駅のすぐ側なので、バス停までは時間は全然かかりませんでしたね。


 バス停に着いた時点で驚いたんですよ。

 何にビビったって、意外と年上の人がいるんですよ。てっきり若い衆ばかりなのかと思っておりましたが。


 この時点では「はえー珍しいなー」って思ったんですけど、バスで移動して某スペインな所の入口に着き——


「うおーッ!?」


 って内心叫びました。

 ネットでは人が全然いないってよく言われておりますが、「それ嘘なんじゃねーの?」って思うぐらいには客が大勢いました。


 人間観察が趣味ではありませんが、こうも人が多いと人間観察したくなるのが曼珠ちゃんの性。開園時間までの待機時間だったり、移動中だったりと近くを通る人々を観察しました。

 そこで気付いたのが、オタクは多様だということです。年齢やその人の性格(陰と陽の辺りとか)という面で。


 何を当然のことを、と思われる方も多いでしょう。実は私、こういうオタク向けかつ規模がバカでかいイベントに参加するの初めてなんですよね、確か。

 失礼を承知で言いますと、自分はかなり偏見を持っておりました。というのも、「まーどうせ『こいつオタクやん!』って分かるような奴等しかおらんのじゃろうなーギャハハ!」って具合に、所謂ステレオタイプのオタクしか来ないのかなと思っていたのです。まあ自分も自分でオタクって分かるような見た目なので人のことは言えないのですが。


 では実態は?


 それについては、様々な方々——それこそオタクって分かるような人から、「オメーオタクなん!?」って人までいました。

 老若男女、というだけではありません。オタク的な見た目の人に、陽キャの如きオサレさん。一人で来た人、ネット上のコミュニティで来た人、果ては子連れ家族まで。更に言えば、怪我か病気か生まれつきか、体が不自由な人もいました。

 同性だけのグループに男女両者のいるグループ。若い人同士と年取った人同士、そして老いも若いもいるグループ。


 そう、オタクとは多様なのです。

 男も女も、老いも若いも、陰も陽も、障害を持つ者も持たざる者も——あらゆる人が、あらゆるコンテンツのオタクになる可能性を秘めているのです。

 女性が男性向けのコンテンツのオタクになっても問題は無く、その逆もまた然り。年取った人が若者向けのコンテンツのオタクになっても問題は無く、その逆もまた然り——

 コンテンツは万人に開かれたもの。そうであるのなら、そのコンテンツにハマる人間に多様性が生まれるのは必然。改めて思えば当然の話ではありますが、今回の旅はそれに気付けたという意味で貴重なものでありました。


 さて、ここまで多様性の話をしてきましたが、「じゃあ誇りは何なん?」と思われたことでしょう。


 オタクは推しのグッズを身に纏うもの。缶バッジ、キーホルダー、ぬいぐるみ——そういった形として己の愛を表現していることでしょう。

 中にはコスプレをされている方もおり、それもまた強い愛情表現の一種でしょう。

 そしてバスの中、園内を歩いている最中、園内で見られる映像作品が始まるまでの待機時間、カフェでの食事の時など、周囲の方々は推しの話で盛り上がっていました。

 彼らからは推しへの強い愛が窺えました。ともすれば自身の一部のような存在、或いはその人にとっての救いであるかのような推し、それと共に在ろうとする姿を見せていました。

 その愛情表現はとても強く、まさにオタクの誇りが現れていると言えるでしょう。


 ——では、自分はどうだ?


 確かに自分もお二方が好きですし、コンテンツを楽しんでおります。

 しかしながら、自分は彼ら程に強い愛情を示しておりませんでした。

 確かに好きだけど、自分はお二方のグッズは何も持っていない。めっちゃ詳しいと言える訳では無い。熱く語ったことも無い——


 オタクは多様だと上の方で記述しました。それを考慮すれば、このようなあり方もあって然るべきでしょう。

 しかし、自分は自分の好きなものに、誇りを持って向き合っていなかった。それがこの旅で出会ったオタク達を通じて痛感したことでした。

 酷く恥ずかしくなりました。これでは自分は好きなものに「好き」と言えてないではないか、と。オタクとしての誇りを忘れ、何となくコンテンツを享受していたのだ、と。


 思い返せば、自分は広く浅くハマるタイプの人間でした。それもある意味ではオタク的なのでしょう。

 しかしそれもあってか、一つのコンテンツに誇りを持って接してこなかった。どのコンテンツも、飽く迄それなりにしか関わってこなかった。

 それはあるコンテンツを好きになるオタクという存在として恥なのではないかと、あるコンテンツに対して酷く失礼なのではないかと、この旅を通じて考えました。


 勿論こういった考え、こういった在り方は人それぞれですし、況してや相手に押し付けるものではありません。ライトにハマる人もディープにハマる人もいて当然で、一方がもう一方の在り方を否定するなんてことはあってはなりません。

 しかしながら、自分はコンテンツを愛するオタクとして、そのような存在を目指したいと考えた次第です。誇りを持って自分の愛するコンテンツに向き合える、そんなオタクに。

 きっと、それがコンテンツへの恩返しにもなることでしょう。


 ……んまあこれで終わりなんですけど、何だコレ……?

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