新版ゲロムスの遺児を投稿して ~新版の執筆を通じて思ったことの話~

 まず、自分は『ゲロムスの遺児』という作品を投稿しております。簡単に言いますと、ミーリィとダスっていう自警団に所属している二人が、ポンっていう少年と出会って、とある戦いに巻き込まれていく、という話です。

 第一話の投稿日が2023年2月13日となっていますが、これ新版なんですよね。旧版の方は2020年の12月に投稿しました。これはカクヨムでは非公開になっていますが、小説家になろうの方ではまだ見ることができます。そのうち非公開になると思いますが。

 新版を執筆した理由は幾つかありますが、特に大きい理由を挙げると二個あります。

 一つは設定やストーリー展開が変わったからです。体感ですが、設定やストーリー展開を考える時間と、実際に執筆する時間の比率が9:1なんですよ。そのせいで設定や展開がコロコロ変わり、当初とは大分異なっています。

 その最たる例が現在執筆中の第二章です(尚、旧版は一生の途中で止まっています)。そこに登場する『ボスカルの獣』という魔獣(ざっくり言うとなんかでかくて魔法使える獣)は、元々ある組織の魔獣だったんですけど、現在では敵である新ダプナル帝国の魔獣として扱われています。

 そうなると、以前のストーリー展開では成り立たなくなってしまい、改めて執筆した次第です。

 もう一つの理由ですが——これに関しては一つ目の理由と重なる部分もありますが——余分なものを排除する為です。

 上記のことから何となく察せられるとは思いますが、自分は設定厨寄りの人間なんですよ。というか自分ではかなりのレベルの設定中だと思っております。

 まだ旧版だった頃の話なんですけど、一度ゲロムスの遺児を見つめなおしたんですよ。そこで気づきました——これ、無駄な設定多くね? と。

 よくよく考えてみると、作ったはいいものの「これどこで出すんだ?」とか「これどうやって決着付けるんだ?」とか、そう思い至った事例がいくつも出てきました。

 それで一度その答えを考えて、出しはしたんです。でも、「それやるとストーリーの本筋からそれるよな?」とか「いややっぱそれ余分だろ」とか、そういう結論も出てきました。

 以上二つの理由だけでなく、その他諸々の理由も出てきて——最終的には、新版を作るに至りました。

 で、ここから新版を実際に執筆して思ったこと・気づいたことを二つ書いていこうかと。

 一つが——まあ当然っちゃ当然ですが——書きやすいです。一応ストーリー展開は最初から最後まで考えているのですが、それでも細かい部分までは考えておらず、それを考えてめっちゃ時間をかけてしまう、ということが多々ありました。

 新版は、そうやって考えたことをそのまま用いたり、改変して用いたりしているので、やはりすらすら書けます。

 書きやすさの要因はもう一つあると思いまして、それが無駄な設定を排除したことだと思います。

 自分だけかもしれませんが、設定を色々考えると、「絶対に出さなきゃいけない」っていう思いに駆られるんです。どうやってねじ込もうかと考え、その結果執筆に時間がかかったり、展開や要素に余分なものが溢れたりしました。実際旧版にはその側面がありました。

 それでいっそのこと無駄なものを削ぎ落してみると、あら不思議。どういうことを書きたいか、どういう展開にすべきかが明確になり、すらすらと書けるようになりました。

 色々設定考えちゃって、何をするか迷っちゃーう、って感じの方は、一度思い切って余分そうなのを捨ててみると良いかもしれません。それでかなり書きやすくなるかと。

 もう一つが、作品に弱点があることに気づいたことです。まあこれは書き直さなくても分析すれば気づけることでしょうが、自分は新版の執筆を通じて気づいたので、一応記しておこうかなと。

 書き直して思ったのが、設定は凝っているのに、展開があっさりしているんですよ。何と言いますか、本筋の書くべきところだけ最低限しっかり書いて、それ以外の日常パートだったり、戦闘描写だったり、会話だったりがあっさりしている、或いは少ない、といった感じでしょうか。もしかしたら、人によっては「小説を読んでいる」というより「設定や展開が書かれたノートを呼んでいる」って感覚に陥るのかもしれません。

 多分ですけど、設定を色々盛り込んでそれに満足し、その結果あっさりとした展開になったのかなーと考えます。実際「あれ? ゲロムスの遺児ってこんなボリューム少なかったっけ?」って書き直して十話くらいまで投稿した時に感じました。

 この弱点を何とか直そうと、二章からはその辺りを意識して書いています——が、正直自分だけじゃよく分からないところ。自分の作品だと贔屓目で観ちゃうでしょうし。一度誰かに見てもらいたいところですね。

 まあ、じっくり考えれば他にも出てくるかもしれないんですけど、こんな感じのことを思ったり気づいたりしました。

 文章であれ設定であれ、推敲することが大事なんだなーと感じる機会でした。それによって作品は洗練されていき、また弱点を見出すことができるんじゃないでしょうか。正直、もう今の時点で新版の新版を作りたいって思いを抱いております。

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