段差インザダーク ~段差でこけて大惨事になった話~

 ほんのちょっとした段差でも躓くことってありますよね。何も無いようなところで転倒し、一緒にいた人に笑われる——そんな微笑ましい状況ならいいんですけど、時には恐ろしい事態に発展することもあります。

 昔——小学二、三年生の頃ですかね。ある日の夜、父親とコンビニに行くことがありました。そのコンビニの前の歩行者用の信号は待ち時間が長く、その癖通過できる時間は短いんですよ。まあこういうのはよくある話でしょう。

 丁度青信号になって、走ればギリギリ間に合う距離だったので、走ったんですよ。で、当時の曼珠少年は、ポケットに手を突っ込んでいるのが何故か格好いいと思っていたんですよ。いや、訂正します。今でも思っています。

 手を突っ込んだまま走って——自分が転んだと気づいた瞬間に、手を出すことができませんでした。

 顔面から派手に転倒し、当然自分は耐え難い苦痛の中で泣き喚いていました。咄嗟に父親に介抱され、幸い家も近かったのですぐに帰宅。

 その時の自分の顔がどうなっていたかといいますと、顔を左右に分断するように、真ん中から血がどろどろ流れましてね。これぞ血河って奴ですよ。当時の状況を伝えたらこっぴどく叱られましたね。

 どういう処置をしたのかは正直記憶にありません。病院に行ったのかもしれませんし、絆創膏を貼りまくったような気もします。十年以上前のものでも人のいじりを大体覚えている曼珠ちゃんですが、何も覚えていない辺り、それについて他の子にいじられたことも無かったのでしょう。

 ただ、二つほど言えることがあります。特に夜道は注意して歩いたり走ったりしましょう。そして、格好いいからといってポケットに手を突っ込むのはなるべく控えましょう。まあ自分は今もやっていますがね! だってかっけーじゃん! スタイリッシュじゃん!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る