ハニーフェイカー曼珠 ~カナダ修学旅行の話~ (2023/5/22追記)
まず最初に、ハニーフェイカーはテキトーに考えた名前です。いやそれはどうでもいいんですよ。
自分の行っていた高校は修学旅行でカナダに行くんですよね。まあもう何年も前の話になってしまうんですけど、吹っ飛んだ記憶を思い出しつつその時の経験を書いていこうかなーと。
飛行機に乗る経験はこの時が初めてでした。自分は飛行機に乗ってくつろいでいるシーンを何度か見てきたので、快適なフライトが始まる——なんて幻想を抱いていたんですよ。
実際に乗ってみると、めっちゃ苦痛でした。狭くて人が密集し、碌な身動きも取れず、半日ほど拘束される、という地獄が繰り広げられていたのです。基本は動き回らずにゴロゴロしていたい人間なんですけど、この時は初めて動き回りたいと思いました。
機内食は不味いって話をしばしば聞いていたんですけど、自分は美味く感じました。確かパンと、牛肉と豆が一緒に入っている奴だったかな。主菜はパックの米の容器みたいなのに入っていて、普通じゃこういうの出てこないから、飛行機に乗っていることも相俟ってめっちゃ浮かれてましたね。まあ浮かれていたのも足腰が死にかけるまでの話ですが。
飛行機から降りて空港の保安検査場に行ったんですよ。そこには機械があって、来た目的を選択するよう画面に表示されているんですよ。当然修『学』旅行ですから、『勉強(study)』を押したんですよ。恐らくそれがまずかった。なんか別の場所に連れていかれ、何言ってるか分からない外国人姉貴の話を聞き、その後先生に助けられました。同じく連行された子も同じのを押していて、「修学旅行って勉強じゃないんか……」ってなりましたね。
一日目は観光で、公園に行ったり街を徘徊したりしました。まあそれについてはあまり面白い話は無いです。その日の夕食は大きめなレストランだったんです。そういう店だった、というだけの話かもしれないんですけど、ここで初めて外国の洗礼を受けましたね。
まず——正直自分はあんまり分からなかった、まあ言われてみればそうかもー? ってレベルなんですけど——飲み物がやたらと甘かったそうです、友人達曰く。コーラが甘すぎて飲めないって子も出てきて、甘党の自分が美味しく頂きました。
もう一つが、米の硬さです。形状的に、タイ米とかでは無いと思います。だけど、やたらと硬かった。自分は食べるスピードが遅いんですけど、米が硬く、オマケに骨の多い魚が主菜だったので、えげつないレベルで食べるスピードが遅くなりました。最終的にはコーラで流し込みました。
その後ホテルへ。そこの一階にちっちゃな店がありまして、小腹空いたからポテチでも買おうかなーと、同室の子と行ったんですよ。で、商品を眺めていたら、店の人に捕まりました。何されるんかなーと思っていたら、「日本語を教えてほしい」と言われました。
確か「これお勧めだよ」とか、そういったことを日本語だとどう言うのか、ってのを聞かれたかな。実際に喋り方を教えたんじゃなくて(まあそれもやったような気はするんですけど)、文字を書きました。店の人が伝えたいことを紙に書いて、それを俺と同室君で日本語訳する。それを来た学生に見せる、って寸法です。
でまあ言われた通り、書かれた通り書き、無事終了。報酬として腕時計を貰いました。日本に持ち帰ってすぐに駄目になりましたがね。まあこまけぇこたぁ気にしません。
ちなみに店の人に「うまい!」って言われたポテチを買ったんですけど、すっぱくてそうでもなかったです。少なくとも儂の口には合わん。
二日目も観光で、これについては特に話すことは無し。三日目にホームステイの人と合流しました。カナダって人種の坩堝といいますか、いろんな人種の方がいるんですよね。実際受け入れ先には白人の人やアジア系の人など色々いました。
自分とさっきの同室の友人はフィリピン出身の老夫婦の家に行きました。まあその前にショッピングモールに行き、昼食を食べて土産を買いました。お菓子を色々買ったんですけど、ホストファミリーの方に「これうまいよ」と、熊の形の容器に入ったメープルシロップを勧められ、それも購入。カナダといえば、その国旗にもあるようにメープルです。忘れていた訳ではありませんが、丁度良かったのでその場で購入しました。
一時間近く車に乗り、郊外の方へ向かっていったんですよ。そこの景色なんですけど、カートゥーンアニメとかで見た住宅街とか、某車の擬人化アニメで見たような店とかがあって、アレってマジであるんやなぁと感動しました。
家に着くと、そのサイズ感に圧倒されました。自分の家は庭含めかなり大きいらしく、初めて見た友人からはしばしば「でけぇ」と言われるんですけど、その1.5倍はあるサイズでした。部屋にはアンティーク調の家具や装飾品があり、絵画や草花を飾り、さらにどっかの国の原住民の像も置いてありました。
ここでも外国の洗礼を——いや、洗礼というよりは自分の実力不足ですね。自分英語はかなり得意な方で、英語に関しては特待生コースの上位層にいたとは思うんですけど、自分の英語がまるで通じませんでした。何度言っても通じず、嫌な汗がぶわっと湧いてくる感覚がしました。多分日常会話では使わないような表現を使ってしまったのでしょう。「英語の成績が良い」と「英語が話せる」は必ずしもイコールでは無いと痛感しました。
ちなみに、映画を見てたらエッチなシーンが流れてきて気まずい空気になったのは良い思い出です。
四日目に向こうの高校を見学しました。そこの学生さんに学校を案内してもらう感じで、一人につき一人の学生さんが案内してくれる感じでした。
最初に案内してくれた外国人兄貴は日本のマンガやアニメが好きで、某海賊マンガの話で盛り上がりましたね。確か主人公の兄が好きだったかと。ただ、英語をうまく話せない人と交流した経験が無いからか、結構早口で一部何言っているか分からず、相手を困惑させてしまう場面もありました(彼を批判する訳では無いんですけど、ホームステイのホストファミリーは英語が聞き取りやすいように意識している——的なことを先生が言っていたような気がしましたし、実際自分のホストファミリーの英語は聞き取りやすかったです)。こわひ。
その外国人兄貴は何か用事があったみたいなので、別の子を案内していた外国人姉貴のところに合流し、授業に出席して話を聞いていました。「何言ってんだー」と思いながら教室を見回していたら、前に座っていた人のPCの画面が見えたんですよ。それをよーく見てみたら、何やらエロい画像を見ておりまして、自分は黒板など見ずにそっちに集中していましたね。日本人も外国人もそんなに変わらねぇ。
ちなみにここでやらかしたことがあるんですけど、この日相手の学生さんに渡すようにお土産を持っていくことになっていたんですよ。で、自分はそれをホームステイ先に忘れてきてしまい、ペットボトルの水(飲んでいない)とポケットティッシュをあげました。外国人兄貴のどこか引きつった笑顔は今でも忘れねぇ……! 本当すまねぇ……!
五日目はホストファミリーとサヨナラして、大学の見学に行きました。高校見学とは打って変わって、こちらでは班になって見学をして、かつ担当者が日本人留学生でした。他にも人がいて、かつ相手が日本人だった時の安心感がパネェ。
その大学は凄かったですね。広さは勿論のこと、本屋もでかくて日本のマンガの英語訳版をいくつも取り扱っていましたし、ハンバーガー屋が中に入っているし。おまけに周りが森だからか、キャンパス内にリスが徘徊していました。
最後の日は、特に面白いことは無し。この日も観光で、班になって街を徘徊しました、ってことくらい。あとその日の夜飯はやたらと豪華なレストランで、うまいか聞いてきたシェフにサムズアップをしてやりました。
次の日に日本に帰りました。やっぱし長時間拘束されるのは肉体的にも精神的にもきつかったのですが、心なしか行きの時よりはきつくなかったです。
さて、日程の方は以上の通りです。あとは細かい思い出を。
まず、路上や店の前とかで演奏している人が結構いました。若い人から高齢の方まで。住んでいる場所がド田舎なのもあるかもですが、日本だとあまりそういうのをお目にかかれないので、貴重な体験でした。オサレな街並みの中でギターを持って演奏する雰囲気はとても良かったです。
もう一つはハンバーガー屋ですね。最初に行ったのはホストファミリーとなんですけど、その後に見学した大学内に入っていた所に行き、帰る前の空港で昼食を摂る際は、怖くて他の店に突っ込めなかったので、合計三回行き、しかもどれも同じメニュー(チキンバーガー)を食べました。味は良かったです。店の名前は憶えていませんがある程度の検討はついており、それが正しければ日本だと沖縄で食べることができるみたいです。沖縄旅行した際には行こうかなーと。
それから、ホテルの朝食がザ・外国って感じでした。内容自体は日本のホテルの朝食バイキングと然程変わらないんですけど、かなり油っこく、朝から胃もたれを起こして苦しかったです。
さて、最後になりますが、家に帰った次の日、先述のメープルシロップを頂こうと、ホットケーキかフレンチトーストを食べることにしたんですよ。料理が出されて、熊の容器からメープルシロップを出し、いざ実食——そして、次のように叫びました。
「これハチミツじゃねーかッッッ!!!」
2023/5/22追記
実は何人かの同級生に当時のことを聞いてきたんですけど、ある子のお陰で大事なことを忘れていたことに気づきました。
それはカナダに来たその日に知ることになりました。その日の観光をし終えて、ホテルに向かっている時、変な臭いがしたんですよね。
私はまあまあ臭いフェチでして、どぎつい香水もガソリンスタンドもタバコも工場も大体いけて、無理なのは他人の口臭とか体臭とかくらいなんです。つまり大体の臭いはいけます。そんな自分が、珍しく気持ち悪さを感じる臭いがどこからともなく漂ってきました。
ガイドさんがすぐそばにいたので、そのことを伝えてみました。すると「これはマリファナだね」との返事を頂きました。
丁度うちの高校で修学旅行に行ったタイミングが、カナダでマリファナが解禁された後だったんですよ。それもあって、街中でマリファナの臭いが漂ってきました。
自分の感想としては、あれはヤバいです。うまく説明できないんですけど、例えばタバコの臭いって、何か草花とか食べ物とかが燃えている臭いってイメージなんですよ、あくまでイメージですが。それに、ものによっては甘い臭いもしますしね。一方でマリファナの臭いはといいますと、あれは毒性の危険な薬品がぶち撒けられたり燃えたりしている臭いってイメージですね。脳が「ヤバい」って信号を出すような臭い、とも言い換えられますかね。まあ、ものが悪かったって可能性も否定できませんが。
多分「あ、これマリファナだ」って分かりやすい臭いだと思いますので、意識しているとすぐ気づくでしょう。正直、よくあんなもの吸えるなーと思います。
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