第2話

通行券を発行してもらい、クリス様のいる外のベンチへ無駄に広いターミナルから足を進めている。

ここまで一時間も待たされやっと発行してもらったが、意外にも時間を食われて予定の到着時間に間に合わないかもしれない可能性を頭の外へ振り払う


外で待っているクリス様は、本来の予定が滅茶苦茶になったにも関わらず、その美しいたたずまいからは、焦りを感じさせず、高貴さを際立たせる長い耳に、赤みの強い生成色の白く長い髪が、より、美しさを感じさせている。


「やっと終ったよ」

と言って出てきた僕に微笑みかけるように


「ありがとう」

優しくと返してきてくれた

そのまま目線で合図を送ると、僕の少し後ろについて歩きだした。


隣にいて欲しいとまでは思わないけれど、もう少し前にでて歩いて欲しいなと、思いながら、駅へと向かっている。


駅には小型の、といっても水車や荷車ぐらいの大きさのドラゴンが複数匹並んでいて、ドラゴンの上には、今からそこに座るであろう椅子が五、六個並べられており

椅子とドラゴンを繋ぐのは、椅子の下から通される紐がドラゴンに巻き付けられているだけである。


心もとなくはあるが、時間を間に合わせるには仕方ないと良い聞かせなかながら、いざ、落ちるようなことが、あったとしても、僕がクリス様を抱き抱えながら安全に着地させたら良いだけだ。と自分に言いつけ、そのガタガタの椅子に座って飛び立つのをまった。

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