第7色 アノスの色相調べ
「二人とも、ありがとうねぇ」
「ううん、お婆ちゃんもはやくよくなってねっ」
僕はお婆ちゃんの寝室からでて、リビングにいるクリスティアさんの元へと走る。
「クリスティアさん、ありがとうございますっ」
「いえいえ……アノス君、自分の部屋はある?」
「え? はい、ありますけど……?」
「じゃあ、アノス君の色相、イプセカラーを調べてみよっか」
「しきそう……? い、せ……?」
クリスティアの言葉にアノスは疑問符を抱く。
聞いたことがない単語だ、けど魔法に関することくらいしかわからない。
どういう意味、なんだろう。
「アノス君の魔法の属性を調べるの、気になるでしょ?」
「は、はいっ。こっちです」
僕はクリスティアさんと一緒に自分の自室へと向かった。
アノスは扉を開け、室内へと入る。
「……意外に広いんだね」
「元々はお父さんとお母さんの部屋なので……」
「へぇ」
お婆ちゃんの部屋よりも少し広いのは元々父さんたちの部屋だから、ということらしい。お婆ちゃんが「僕は狭くても大丈夫だよ?」と言うと、「ワタシは狭い方が好きなんだ」と笑っていたな。
「それよりも、どうやってその、色相? を調べるんですか?」
「私の荷物の中に、色相を調べる道具が入っているんだ。まずは、ウィッチの専門用語から少し教えるよ」
クリスティアさんはベットに杖を構える。
「我、願う。希う。シルフの息に隠れた
彼女は魔法を詠唱すると、ベットの上に革鞄が現れる。
大きそうな荷物を、彼女はどこに隠していたのだろう。
「……本当に、魔法ってなんでもありですね」
「あはは、まぁ便利って言えば便利だよね。
「
「魔法を扱えない人のこと。まだアノス君はどうなのかわからないから……魔法、使えたらいいね?」
「は、はいっ」
クリスティアはそのまま鞄から荷物を取り出す。
あちこち中に入っているのか、少し時間がかかっている。
「あった!」と声を上げるクリスティアに、「本当ですか!?」とアノスは興奮した声で言った。
彼女は持った道具をテーブルに並べる。
紙と透明なインク瓶、空の小瓶とガラスペンにナイフ……一体、何に使う物なんだろう。
「それじゃ、アノス君。さっそく君の色相を調べようか」
「どうやって調べるんですか?」
「まず、アノス君は利き手どっち?」
「えっと……左です」
「お、天才肌! じゃあまずそのガラスペン持ってくれる?」
「わ、わかりました」
クリスティアさんがテーブルに置いた硝子でできたペンを利き手に握る。
「力は入れ過ぎないでね? 結構ペンの方は特殊な作りで高価だから気を付けてねー」
「わ、わかりましたっ」
「じゃあ、透明のインク瓶にペンを入れて」
「え、えっと……こう、ですか?」
アノスは透明なインク瓶にガラスペンを差す。
どちらも透明でわけがわからなくなる中、ある程度入れていると、「それくらいでいいよ」とクリスティアに言われ、ペン先をインク瓶から出す。
「ペンで紙を全体的に塗り終わったら、後で一番重要な作業が待ってるから」
「? ……はい」
クリスティアが含みがある笑みにアノスは特別気にせず、紙にインクを塗りたくる。透明だから塗り切れている自信がないけど、クリスティアさんが大丈夫、と言われてペンを横に置く。
「じゃあ、ナイフで指を切ろうか」
「え!? 指を!?」
「うん、でないとインクを塗った意味がないし」
「……本当にするんですか?」
「この方法が私たちの業界では一般的なんだ。インクには自分の彩管を目にしやすくするための物だからね……ちょっと痛いかもしれないけど我慢して?」
クリスティアはナイフを握り、渋々アノスは自分の指を差しだす。自分が魔法使いになるためだ、と心の中で言い聞かせる。
力んだらだめだからねー? とクリスティアさんが言う。アノスは対し、はいっ……と息を整えて体を楽にさせる。
親指が刺される感覚は、そこまで痛みは伴わなかった。
「血を紙に垂らしてくれる?」
「え? は、はいっ」
アノスはクリスティアに言われるまま、指の血を紙へとたらした。
すると、紙は血が垂れた瞬間、赤い輝きを放つ。
一枚の紙に紙の四方向から赤、青、緑、茶が伸びて真ん中は赤い……不思議だけど、なんだか綺麗だ。
「うわぁ……」
「
「
「
「そ、そうなんですか?」
「
……褒められてるってことなのかな。
なんか、嬉しい。
「ふっふっふ、君が魔女や魔術師に錬金術師や魔導師、賢者や宮廷魔法士を目指すならこの工程を覚えておいた方がいいよぉ?」
「? 魔法使い、以外に役職があるんですか?」
なんだか、御伽噺で聞いたことのない単語ばかりだ。
「じゃあ魔法使い……いいや、ウィッチのこと教えてるね。眠らないで聞いてよ?」
「はい、お願いしますっ」
クリスティアさんはそうして魔法使いのことを一つずつ教えてくれた。
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