第22話 新たな暗殺者

「レンタル・イケメンご指名いただきまして、ありがとうございます!ぶさおです」


自分の顔を取り戻すため、イケメンの心を忘れない元・イケメンの「池 免太郎」は、自分にウマレカワールという錠剤を飲ませて、ブサメン顔(個性的な顔)にした相手である「醜 歩太郎」を見つけるため、真島白雪の目を覚まさせるため学校を休学し、レンタルイケメンのアルバイトをしていた。ぶさおとはレンタルイケメンのバイトをする際の免太郎の偽名(源氏名)である。

「あら・・意外とイケメンじゃない?」

「よく言われます・・って・・・ええ?」

いきなり、自分の歩太郎の顔にひかない相手が、渋谷ハチ公前で、待っていた。

「あ・・・ありがとうございます・・」

「・・へぇ・・かわいいじゃん・・・」

大人の余裕のある女性。ベージュ色のニットのセーターから身体のラインがわかる。黒のタイトスカートとブランドのロゴが入っているの茶色のバック。三日月のデザインをしたイヤリングが、自分を試している。

『やばい・・これは・・強敵だ・・まずい・・まずいぞ・・』

初めてのポケモン・・いや・・女性のタイプに遭遇して緊張が走る。まさか、数日前にキスをしただけの元・免太郎は、確かにまだ震えていた。この女性のパターンは自分のイケメンギャクでは乗り切れない。むしろまたクレームになって、このバイトをクビになってしまう。

「俺・・心はイケメンで・・キモ・イケメン戦士・・って呼ばれたり・・呼ばれなかったり・・して・・ます」

「イケメン戦士?なにそれ?面白いね・・君」

彼女の笑顔がまぶしい。何回、現世で徳を積めば、こんな大人の美女になれるのだろう?

「今日の・・ご・・ご依頼内容は・・・」

「時間が空いたの。彼氏にデート、ドタキャンされちゃった」

「・・それは・・・それは・・許せんですね」

「そうなの。今日、わたしとのデート・・付き合ってくれる?」

いきなり腕を絡まさせてくる女。

「うわっ」

奇声をあげる元・イケメン。女に慣れていないのがバレバレである。

「・・もしかして・・・」

「は・・はひ・・」

心臓が爆発しそうなくらい、元・免太郎は顔が赤くなっている。いかん。欲望に負けるなイケメン。俺には・・今・・・真島白雪という恋人・・ではない友達以上の恋人候補がいるのに・・

「・・・私のこと・・好きになった?」

「!?」

予想していた妄想の斜め上を行く大人の女性のことば。自分が未経験であることがバレたのかと一瞬焦った。

「・・いやあ・・お客様はお客様ですから・・」

「・・・・・」

「・・だ・・大丈夫です」

何が大丈夫なのか、よくわからない。キモ・イケメン戦士は、完全に女性のペースに飲まれていた。

「つまんない・・私を好きになってもらわないと・・」

腕を絡ませて来る女性。

「いやあ・・素敵だとは思います・・よ」

顔を真っ赤にしながら違う方を見る元・免太郎。俺には真島白雪という、友達がいるんだ。

「今日、デートで、好きにならせてあげる」

「ははっ・・賭けですね」

「じゃあ、今日は、天気もいいし、夢の王国に行こうか!」

「いいですね。あの場所は千葉なのに東京のにあるかのようにウソをついているあの、偽りの夢の王国へ行きましょう!」

「変な言い回しをするね。」

「ははっ・・ギャクはおもしろいですか?」

「つまんない」

「ですよね~」

「あなたは、余計なことを考えず、自然な言葉のほうが、面白い」

「・・・・・・・・」

「気づきなさいよ。自然体のままの方が、モテるよ。かわいいモン」

「ですかね~」

よくわからないけど、もしかしたら、未来になればわかるようになるのかな。背伸びしている自分よりも、いつものままの自分の方が・・

「狙うのはやめなさい。あざとさが出ると、女は醒(冷)めるから」

「気を付けます」

「行こう」

2人は、電車に乗って、マイオハマビーチを目指していた。


『好きになりなさい。私を。どんどん好きになれは、


優しいまま、殺してあげる』

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