第13話 イケメンとブサメンの対決

「会いたかったぜ・・歩太郎・・・俺の顔・・・返してもらう!」


イケメンこと、「池 免太郎」は歩太郎に変な薬を飲まされて、気が付くと歩太郎のようなブサメンの顔に転生していた。


「会いたくなかった・・免太郎くん・・俺は人間として完全体になるんだ!」


ブサメンこと、「醜 歩太郎」は、免太郎に錠剤を飲ませて、イケメンの顔を乗っ取り、今、性格良夫(せいかくよしお)の良い性格を乗っ取ろうとしていた。


「免太郎くん・・その顔はどうだい?」

元・歩太郎が、そう話しかける。

「何が言いたい?」

「今までの俺の苦しみを理解できただろう?」

イケメンの顔の中に、憎しみと寂しさが混ざり合った顔を元・歩太郎はしていた。

「なに?」

「人間、顔じゃない。性格が良ければ、それを女の子が評価して好きになってくれる」

「・・・・・・・・・・・・」

「そんな幻想がウソだって、君も気が付いたはずさ」

「・・・・・・・・・」

「人間、やっぱり顔さ、外見が良ければ、頭が良くなくても、性格が悪くても、モテるんだよ!」

「違うな」

「!?」

免太郎は、まっすぐ歩太郎の魂の目を見ていった。

「お前は俺の顔になってとっくに気がついているはずだ・・本当は外見さえよければすべてが上手いく・・・それこそが幻想だと」

「・・・・・・・・・・」

「だから・・今度は性格を転生しようとしているんだろ!性格良夫のその性格を自分のものして!」

「えっ・・・えっ・・・?」

そばにいた性格良夫が、免太郎と歩太郎を交互に見て、慌てている。

「なにを・・しようというの・・?免太郎くん・・」

免太郎の顔をした歩太郎に、良夫が話しかける。

「大丈夫。僕に任せて」

「そこの『まがいもの』の免太郎から離れろ!良夫くん」

真・免太郎が叫ぶ

「黙ってろ!」

『まがいもの』の免太郎が叫ぶ。

「歩太郎!俺のイケメンの顔は、俺じゃなきゃしっくりこないんだ!お前もそうだろ!」

「・・・うるさい!ずっとイケメンの顔で女にモテてきたお前に・・・何で俺が邪魔されなくちゃいけないんだ!」

「・・・・・・・・・・・」

唇をぎゅっと噛む元・免太郎。

「・・・女にモテたいんなら努力をすればいいだろ!お前は頭が良いんだから!」

「努力でどうにかなるなら、もう、こんなことはしてない!」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

その瞬間、免太郎は気づく。歩太郎の中の闇は、努力や勉強でどうにかなるレベルでは、とうになくなっている。それくらい深くて、黒い。自分の世界にはない闇。それを科学の力でどうにかしようとして、


こうなったのだ。


「・・・お前は俺の顔のまま・・・一生・・生きろ・・・そして俺と同じ運命を進め。それがお前の運命だと思え・・そうすれば・・俺は・・・・」

「ふざけるな!」


「治す方法は・・・ない!」


「!?」

そんな馬鹿な・・俺はこの顔のまま・・死ぬまで生きろっていうのか・・・?自分の顔じゃないまま・・

「・・・・行こう・・・良夫君・・・」

ショックを受けたままの元・免太郎だったものを横目に、元・歩太郎は良夫の手を引っ張って立ち去ろうとする。

「歩太郎!そこまでよ!」

女の声がする。さっきまで聞いた声。

「・・・・ウソをつかないことね・・・醜歩太郎・・・わたしのこと・・わかる?」

「・・・・・・・・・・ああ・・・忘れるわけ・・ないだろ・・・・」

「えっ?」

元・免太郎と一緒にここまで来た、謎の女子高生「真島」が、いつのまにか俺たちの前にたどり着いていた。

「真島・・・さん・・?」

「俺が最初に付き合った元・恋人の声を・・・忘れるわけ・・・」

「えっ?」

衝撃の事実。まさか、歩太郎に恋人がいたなんて。

「あなたと付き合って、そして私はこんな顔になってしまった・・・・


私も、免太郎君と同じ


ウマレ・カワールの犠牲者よ!」


衝撃の事実。なんと転生したのは自分だけではなかった。真島の告白に、免太郎はウマレ・カワールという謎の言葉を、ただ考えて、そして答えは出なかった。


つづく







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