第7話 運命の出会い

「あの・・・・・」

顔も性格もイケメンであり、世界中の女性(自称)から愛を受けていた高校生の

「池 免太郎」ことイケメンは、一度見たら忘れられない個性的な顔をした転校生の「醜 免太郎」から家で変な薬を飲まされ、いつのまにか顔を歩太郎(ブサメン)に変えられていた。

「俺は・・・イケメンじゃなくなってしまった・・・馬鹿な・・・」

彼はもはやイケメンではなく、今日から歩太郎(ブサメン)として生きていかなければいけない絶望の中での学校からの帰り道、ひとりの女の子に声をかけられていた。

「あの・・私の声・・聞こえています?」

「・・・・・え・・・・?・・」

黒髪のロングヘアで、セーラー服を着た女性は免太郎をまっすぐ見つめている。ひとめ彼女の姿を見て、免太郎は小さな驚きを覚えた。

「・・・・・・・・?」

どこかで見たことがあるその個性的な顔。クラスの美少女「美崎 愛」と比べるまでもなく、個性的な顔をしたセーラー服をきた高校生くらいの女の子からの逆ナンパ(?)に、身体はブサイク、心はイケメンの「元」免太郎は驚いて、その場に固まっていた。

「・・・いや・・ちょっとJK(女子高生)からの逆ナンパとかは・・・間に合っているんで・・」

こじらせた元・イケメンの免太郎は、個性的な顔をした女子高生の誘いを断ろうとした。

「・・・は?」

「こちとら・・元イケメンの身・・・俺にだって・・プライドとは・・ありますから・・」

思わずいつものイケメンのときの癖が、つい出てしまった。相手を怒らせたと思い、慌てて訂正しようとする元・免太郎に、彼女は言う。

「・・・池・・免太郎さん・・ですよね・・・?」

「!?」

こんな歩太郎のような個性的な顔になっても、なぜ、自分のことを知っているんだろう?彼女は超能力者?

「すいません。人違い・・・ですよね・・・それじゃあ・・」

彼女はちょこんと頭を下げて、免太郎のそばから離れようとする。すると免太郎は声を上げた。

「ちょ・・・待てよ!」

誰かの真似をしたわけではない。だが、こういうときでも、女のこの前でかっこつけたいの性格は、外見が歩太郎になっても、変わらなかった。

「え・・・?」

「・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

二人は見つめあいながら、沈黙していた。何秒だろうか、何十秒だろうか。彼女の目を見ながら、ここで恋が始まる予感を1ミリも感じないのは、う~ん。しかし、今は、そんなことを考えている場合じゃない。

「どうして・・俺が免太郎だと・・・知っているの?」

ここが、一番、聞きたいことなのだ。彼女を見ながら免太郎は問いかけた。

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・私も・・・あなたと・・・同じだから・・・」

「えっ?」

同じ?どういう意味だ

「行きましょう。」

彼女は、俺の手を取って、何も言わずに引っ張っていく

「どこへ行くの?」

彼女の手のぬくもりを感じながら、やはり、ドラマのような恋が始まる、予感はしなかった。

「いいから」

「強引なのは困る。俺は・・いまから歩太郎である運命を絶望する時間なのに・・・」

「馬鹿なこと言ってないで、さっさと行くのよ」

「・・・ちょ・・・どこへ?」

「醜 歩太郎の家に決まってるんでしょ!?」


謎の彼女の強引さに引っ張られながら、こういうのも意外と悪くないと、思い始めた元免太郎の旅は、確かに今、迷走していたのだった。

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