第10話 秘密のキャンディ
休みが終わり平日が戻りつつある
キャンディはカバンの中に入ってる
なのに渡す機会がない
焦る
同じ班だからこそその時の話はお互いしないし
他の人に言ったりもしない
からかわれるのが怖かったのだ
そして避けられるのも怖かった
そんなある日
休憩時間に私はいつも通り1人で次の授業の支度をして椅子に座ったまま時間を経つのを待っていた
かなりぼーっとした顔をしていたに違いない
そんな私の顔の前に青いものが
あ、辞書!
え?だれ?と思たら彼だった
みんな同じ辞書だから自分のがわかりやすいように背表紙にミッキーのシールを貼っていたのだ
それを彼は知っていたのか…
その事にも驚いたけど笑顔ではい、どうぞという感じで渡してくれたことがとても嬉しくて
「あ、ありがとう」
というのが限界だった
ある時部活を終えた私は靴箱へ向かって自分の靴箱へ角を曲がったら
「わっ!」久しぶりに大声が出た
彼がいたのだ、友達付きで
え?約束したっけ?
まさか私の靴がまだある事見て待ってた?
なになに?と思ったら
「前におすそ分けって言ってたから」と
ああ、そのために待ってたのか
彼はいつも不思議なところで待っているみたい
友達がいたが気にせず包んであったキャンディを渡した
渡せて良かったという安堵感と
一緒に出かけたんだなというじわじわくる幸福感
帰り道は同じだったけど恥ずかしくて
急ぐねって小走りに先へ帰った
「なにその飴〜」て言われてるのを背中越しに聞こえながら…
実際彼が食べたのかどうかはわからない
甘いものが好きかどうかも知らないし
本当に知らないことの方が多いのだ
それでもキャンディという共通のものがあるだけで私は嬉しくて満足していた
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