第6話 別れない理由

 私が聖香に打ち明けてから数か月が経った。


 

 それでも、別れる気配は一向に無かった。



 なんで別れないのか気になって聞いてみた。



「なんで、別れないの?」



「んー。なんというか、約束したんだよね」



「約束?」



「別れない。っていう約束」



「え?」



 だから、別れないのか。



「なんというか、これで別れちゃったら、嘘ついたことになるから…」



「なるほどね。そもそもあいつのことは好きなの?」



「好きじゃなくなった…」



 ん…?待てよ。なら…。


「ならさ、好きでもないのに付き合ってるってことも嘘ついてるのと一緒じゃない?」



 友人は、図星だとでもいわんばかりの表情をした。



「うーん、そう…だね」



 友人は迷いがあるような顔をした。



「好きじゃないなら、別れたらいいのに」



「うーん。そうしたらさ、騒ぎそうじゃん」



『騒ぎそう?」



「うん。なんというか、悪く言われそうで……」



「そういう人を選んだからそうなるんだよ」



「うーん。あと二人にも被害が行きそうで怖いの」



 私と鈴ちゃんにも被害が行きそうということだろう。



「なるほど。そうなったら、戦うさ」



「いやいや」



 申し訳なさそうな顔を浮かべる友人。



 とんでもない束縛してるなぁ…。



 どうにかしたいけど、聖香が動かない限りどうしようも無かった。



 私達第三者側が入っても意味がないから。



 どうにも出来ずに一日が終わってしまった。


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