第3話 初耳

 私達は、いつもの様に一緒に行動していた。



 すると、また例の男子、春斗はるとが来た。



「俺さ、さっき体育館の壁に穴開けたんだぜ。」



 格好つけながら、聖香に話す。



「なんで、そんなことしたの?」



 笑いながら聞く。



「え、サッカーボール取ろうとして、ヘッドスライディングして壁に穴開けた。」



「こいつ、彼女の前だからって、格好つけてるんだよ。こんなやつやめときな。」



 彼の友人が言う。



「えぇ~。」



 聖香は、笑いながら流す。



 彼らが去ってから、私は聖香に告げる。



「あんなやつやめときな。」



「うーん。でも、こういうことしてポジティブにいられるのがすごいなぁって。」



 馬鹿じゃないの。と言いそうになるが、言葉を呑み込む。


 

 なんであんなのが格好いいと思うんだ。



 ただの阿保じゃないか。



 まぁ、忠告はしたから良いかと思い、放置した。



 しかし、知らぬ間に二人が付き合っていたんだろうと不思議に思い、もう一人の友人に聞いてみる事にした。



「ねぇねぇ、すずちゃん。あの二人っていつの間に付き合ってたの?」



「いつだっけな…。私が聞いた時は、三カ月経ってたよ。」



「へぇ。私は何も聞いてないけど。」



「え!?」



 鈴は、私も知っていると思っていたらしい。



 ふーん。そういうことね。



 少しずつ、聖香に対しての信用が薄れていく。



 

 そして、私は今日初めて、あの二人が付き合っている事を知ったのだった。




 

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