第一話 討伐依頼

 

「あんたらなら、氷室一族ってのは、当然知っとるやろ? なんちゅーても、京極と火野の一族なんやしな」


 理人が二人の素性をすでに幻那との会話で知っていることは理解している。真夜に関してはまだ知られていないので名前を出していないが、あえて言う必要も無いと真夜は自分の名を明かしていない。


「当たり前じゃないの。あたし達と同じ六家の一角でしょ? 何、あんたって氷室の分家か何かなの? 渚は知ってる?」


「いえ。残念ですが、八城理人という術者を私は知りません。分家にも八城という名も無かったはずですが」


理人ほどの使い手なら、その名が知られていても不思議ではないはずだ。しかし朱音はともかくとして、渚が知らないというのは、彼が氷室の関係者ではない可能性が高い。


ちなみに真夜も知らなかったので、朱音をとやかく言えない。


「俺は氷室の宗家に仕えるもんや。忍者みたいなもんやな。氷室宗家の護衛や裏方の仕事をする人間の一員や」

「おいおい。それを俺達に簡単に話して良いのかよ?」

「良いわけあるかいな。でもな、事情を説明するのは必要やし、六家の党首クラスはその存在は知っとる」


 裏の仕事とは言え、あくまで秘匿戦力のようなものであるらしい。汚れ仕事をしないわけではないが、忍びのような存在であると理人は語る。


「で、お前はその一員で生け贄にされたってのは誰だ? お前と同じような存在か?」

「……いいや、違う。生け贄は氷室の直系の氷室志乃や」

「氷室志乃。その名は聞いたことがあります。しかしその方は生まれながらに病弱で、六家の会合などにも殆ど顔を出さない方だと聞いております。年齢も私達と同じくらいだと思いますが」


 渚は持ち前の記憶力と知識で、その少女のことをいち早く察して口にした。


「そうや。表向きにはな。けどほんまは違う。志乃はな、生まれた時から生け贄になることが決まっとったんや。だからそういう風に装わされとった。いつ死んでもおかしくないように……」


 唇を噛みしめ、拳を握る理人。その胸中は、怒りと自身の不甲斐なさで満ちていた。


「なんなのよ、それ? そんなこと許されるの!?」

「許されるも許されんも、氷室ではそれが当然とされてたんや。もちろん、それを知るのは宗家でも一部や。俺が知ってるのは、たまたま俺が志乃の護衛や何やらで接する時間が多かったからや」


 生け贄という言葉に朱音が怒りを露わにする。渚も同じようで顔をしかめている。


「それで、なんで生け贄にされるんだ? いや、なんの生け贄にされるのかだな。仮にも退魔六家の一角の氷室だ。その辺りの木っ端退魔師一族とは違う。規模も、その力もな。そんな一族が外部に知られれば醜聞になりかねない方法を取るしか無いほどの相手ってのは」

「………氷室一族がかつて封じた妖魔・黒龍神や」

「黒龍神って……」

「聞いたことがあります。かつて江戸時代中期に京の方で暴れ回った邪悪な龍がいたと」


 龍とは、強大な力を秘めた幻獣である。人間の味方をするものもいれば、敵対するものもいる。


 その中でも強大な力を持ち、かつての京都で暴れ回った存在がいた。それが黒龍神と呼ばれる一匹の黒龍であった。


「せや。かつて氷室家の先祖が、多大な犠牲を払って封印したって化け物や。当時の記録やと覇級クラスの力があったって残っとる。おそらくあんたが使役しとる堕天使並やろうな」


 理人の言葉に朱音と渚は息を飲む。アレほどの存在がかつては暴れ回り、今は封じられているとは。


「なるほど。それの封印が破られそうで、なんとかしたくて生け贄を使ってより強固な結界を張りたいと?」

「……違う」

「はっ?」

「ちゃうんや。黒龍神はな、もうほとんど復活しとんねん」

「なっ!? どういうことよ!? もう復活してるって!?」


 真夜の言葉を否定した理人に、朱音が声を張り上げる。覇級クラスの妖魔が解き放たれたとなれば、その被害は想像を絶するだろう。


 ルフが何の制約も無しに、暴れ回るようなものだ。それこそ大都市でさえ灰燼に帰すであろう。


「二十年ほど前のことや。突然、黒龍神を封じていた結界が緩まった。その隙をついて、あいつは復活した。当時相対した退魔師達は、半数が殺され、残りの殆どが再起不能にされた」


 無論、氷室一族としてはそのようなことを露見させるわけにはいかない。その情報は秘匿された。


「その後や。黒龍神は氷室家にこう要求してきた。『俺をあがめ奉り、供物を奉納せよ。そして五年ごとに俺の花嫁となる霊力の高い娘を捧げよ』ってな」

「何よそれ!? 氷室はそれを受け入れたって言うの!?」

「せや。その当時の手練れの多くがやられたんやぞ。そら尻込みするやろ」

「他家への協力は申し出なかったのですか? 氷室ならば水波や風間とも横の繋がりがあったはずです。あるいは、星守へと協力を依頼するという手もあったのでは?」

「わからん。もしかしたら打診してたんかも知れん。あるいはプライドが邪魔して、してなかったのか」


 六家の中で氷室は水波、風間とは繋がりが強く、救援要請も出せたはずだ。三家が協力すれば、いや、覇級クラスの妖魔であったのなら、それでも難しいかもしれない。


 さらにここに星守が加われば、可能性はあったかも知れない。


「当時のことは俺もようわからん。けど氷室はそれを受け入れた。黒龍神は封印された山に籠もる代わりに、酒や食料などの供物と、巫女として五年ごとに霊力の高い女を一人よこした」

「その花嫁として巫女の扱いを受けた女性達はどうなったのですか?」

「わからん。今まで三人、黒龍神の下へと送り出されたけど、誰一人として戻ってこんかった。また手紙なんかの音沙汰も無い。生きとんのか死んどんのか。けど妖魔の花嫁で、かつては暴虐の限りを尽くしていた相手や。碌な扱いやないやろう」


 中の様子はうかがい知れない。氷室が張った結界の内部に留まっている黒龍神は、その内部を自らの都合の良い異界に作り替えているらしい。


 さらに結界の内部は眷属である妖魔の蛇が溢れかえり、並の退魔師では足を踏み入れただけで、即座に餌食になる魔窟と化していると予想される。


「だからお前はそれを阻止するために、六道幻那って奴に協力を求めたと」

「……そうや」


 理人はあの時のことを思い出す。生け贄にされる幼馴染みを助けたくて、一人無謀にも結界の中に入り込み、黒龍神を討伐しようと考えた。


 向こう見ずであり、何故そんな勝算もない、博打どころか無駄死にでしかない行動を取ったのか。今考えてもあの時の自分はおかしかった。


 戦いを挑んだが、黒龍神との力の差は歴然だった。あの人の形に収まった黒龍神の前に、手も足も出ずに敗北した。


『暇つぶしとしては面白かったぞ、小僧。久方ぶりに退魔師とも遊べて、中々の一時を過ごせたぞ』


 全力を出し、必死に戦いを挑んだが、相手からすれば戯れでしか無かった。


『まだ目が死んではおらんな。また遊んでやる故、いつでも来るが良い。俺の退屈しのぎに遊んでくれるわ』


 黒龍神の気まぐれに見逃され、瀕死の状態で逃げた。その逃走の直後に、幻那に出会ったのだが。


「で、ボスに出会って、仲間になることを勧められた。俺は協力する代わりに、志乃を助けることを約束させたんや」

「でもあいつがいくら強くても、覇級の相手に勝てる見込みがあったの? ほら、こいつにあっさり負けたじゃない」

「朱音さん、確かに単純な強さではそうかも知れませんが、あの六道幻那ならば様々な策を用いて、覇級の相手でさえも下す可能性は十分にあります」

「そうだな。俺も異界に転移させられたしな。他にも色々な術を使いそうだし、格上が相手でも、状況次第で十分倒せるだろうよ」


 渚も真夜も六道幻那の強さは、その力だけではないと考える。事実、相対した真夜は完全に事前準備を整えた状況で幻那に挑まれれば、死闘に発展していた可能性は非常に高いと考える。


「で、あんたんところのボスを倒したこいつに、その黒龍神を倒してほしいと」

「……そうや。あんたとあの堕天使なら、あの黒龍神にも勝てるはずや」


 真夜は理人の言葉に考える素振りを見せる。覇級クラス。実際覇級クラスでもピンキリだろうが、真夜とルフの二人がかりならば、覇級上位でも勝算はあると思う。


 しかし……。


(さて、どうしたものかな)


 覇級の妖魔。確かに危険であり、排除すべき存在であろう。


 だがその黒龍神は花嫁と称して生け贄を求めているが、暴れ回り、破壊の限りを尽くしているわけではない。


 確かにかつては暴れ回り、多くの命を奪ったかも知れない。討伐するには十分な理由がある。


 それでも真夜がわざわざ出向いて討伐する必要があるかと問われれば、疑問が浮かぶ。


 もしこれで無差別に荒れ回り、多くの命を今なお奪っているのならばともかく、大人しく結界内に留まっているのならば、真夜が急いで討伐に出向く必要は無い。


 未来における懸念材料や、五年ごとに生け贄にされる氷室の人間のことを考えれば、真夜が動いて討伐することも無意味ではないが……。


(それをした時のメリット・デメリット。今後起こりうる厄介事を考えるとな)


 真夜個人のメリット・デメリットや、他に起こりうる厄介事。黒龍神を単独で討伐した場合の反響や、それ以外のことも含めて。


「頼む。あと一ヶ月ほどの猶予はあるはずやけど、志乃が送り出されるのも時間の問題なんや」

「待ちなさいよ。あんたとその子の事情は分かったわよ。でも相手は覇級の妖魔なんでしょ!? その相手を討伐しろってのは、いくらなんでも無茶苦茶じゃないの?」

「そうですね。いくら彼でも、リスクが高すぎます。数を揃えれば勝てるというものでもないでしょうから、仮にあなたやこの話を聞いた私達が手を貸したところで、彼の負担が減るわけでもありません。それに同情だけで命をかけて人を救えなどと、退魔師ならば受け入れがたい案件です」


 退魔師は命がけであり、慈善事業ではないのだ。そこには金銭の問題も関わってくる。確かに慈善事業の側面が無いわけではないが、それでも命をかける理由としてはあまりにも弱い。


 しかもこれは退魔六家の一角である氷室が関わることであり、真夜も朱音も渚も部外者なのだ。寧ろ下手に手を出した方が大きな問題になってくる。


「……わかっとる。でも俺にはもう時間も方法も無いんや。恥も外聞も命さえも捨ててでも、あいつを救いたいんや!」


 理人は叫ぶ。彼自身もいくら真夜が強くても、単独で覇級妖魔の討伐など無理難題も良いところだということは理解している。


 それでも幻那亡き今、すがるものは真夜しかいない。


 仮に他の六家や星守に依頼しても、門前払いを受けるのが目に見えている。


 朱音や渚も生け贄にされる氷室志乃や他の生け贄達に同情もするが、だからと言ってじゃあ助けてあげましょう、などと簡単に言えるはずも無い。


 仮に朱音も渚も、自分達が真夜並の力を持っていたとしても、簡単に首を縦に振ることもできないだろうし、ましてや情に訴えて、真夜に助けてあげてとお願いすることや、助けてあげましょうよ、なんてことを言えるはずも無い。


 それはどれだけ言葉を言い繕い、言い方を変えようとも、真夜を体よく利用しようとしているのにほかならないからだ。


 二人は自分達も理人の境遇ならば、真夜の力に縋りたいと考えてしまうことは、想像に難くない。だからこそ、朱音も渚も理人の懇願に納得はできなくとも理解はできてしまう。それでも優先すべきは真夜の方である。


(助けてあげたいけど、真夜にそれを言うのはどこか違うわね。あたしが何かを言うべきでも、その立場でもない。それに覇級ってことは、あの六道幻那って奴よりも強いってことよね? そんな相手を真夜一人にさせるわけにはいかないわ)

(この件を星守君が受ける必要はありません。いくら強いと言っても、危険が大きすぎます。それに対外的な問題や六家におけるパワーバランスを含めた政治に近い問題も出てきます。とてもではありませんが、気軽に引き受けて良い頼みではありません)


 朱音も本音では助けてあげたいが、真夜の身も心配している。戦いに絶対など無い。それに彼をサポートすることもままならないのでは、どうすることもできない。


 渚も非情だが、生け贄は割り切るしか無いと考えている。退魔師として妖魔は討伐するべきだが、できない場合は封印するしか無い。


 その封印も氷室が担うべきであり、真夜がそこへ無理矢理割り込んで討伐すべきではない。それに成功したとしても、後に待つのはより面倒な事態。氷室に目をつけられ、他の六家からも様々な目を向けられる。


 そんな目に真夜を遭わせるくらいなら、最初からこんな依頼など受けるべきではない。


(あいつらなら、どう言うかな)


 そんな中で、真夜はほんの昨日まで共に命をかけていた仲間達の事を思い返す。


 勇者パーティーのメンバーならこの状況であったなら、どういう行動を取っただろう。勇者、聖女は理人に同情し、無条件に助けようとしただろう。聖騎士は条件付きで賛成し、武王と剣聖、大魔導師は難色を示しただろう。ならば自分は?


 数秒の思考の後、真夜は答えを出す。


「悪いが、その依頼は受け入れられないな」


 真夜の言葉に、理人は愕然とするのだった。



 ◆◆◆



 純和風の庭園の一角。何もない、広々とした空間に、一人の少年がいる。その手には水色の鞭のようなものが握られていた。


「はぁっ!」


 声と共に、ひゅんひゅんと鞭が空を切る音がする。直後、何かが勢いよく切断される音が響く。


 見ればそれは、太い丸太だった。水で出来た鞭が丸太をまるで紙のように簡単に真っ二つにすると、ごろんと地面へと上半分は落ちた。


「お見事です、流樹様!」


 少し離れた位置から、一人の少女が歓声を上げた。薄水色の髪の毛をおかっぱ頭にまとめ、落ち着いた紺色の和服を着こなしている。


 ぱちぱちぱちと手を叩きながら、その行為を成した少年――水波流樹の方へ走ってくる。


「……水葉か」


 水葉と呼ばれた少女は、ぱあっと満面の笑みを浮かべながら、流樹へと乾いたタオルを渡した。


「はい! ですが、いったいどうされたのですか? 赤面鬼討伐から帰還されたばかりだというのに」


 どこか心配するように訪ねる水葉に、流樹は少し顔を背け、眼鏡の指で整える。


「……何も無い。僕は強くならなければならないんだ」

「で、ですが、流樹様は水波家でも五指に入る実力がありますし、何よりも霊器までお持ちなんですよ! 流樹様は十分にお強いではありませんか」

「……買いかぶりすぎだ。僕はまだまだ弱い。この程度で満足できるものか」


 そう。満足なんてできない。できるはずがない。自分の弱さをこれでもかというほどに味わわされたのだから。


(大口を叩いておいて、僕は赤面鬼に対して敗北した。結局、僕らの命が助かったのは、火野のおかげ。さらに星守の前で醜態をさらした上に、治療までされた。これのどこが満足のいく結果だ? どこが強いと胸を張って言えるんだ!?)


 自らの弱さに怒りを抱き、拳をキツく握り唇を噛みしめる。


 弱い退魔師は嫌いだ。弱い奴など、何の価値もない。


 だって、弱かったら、何も守れないのだから……。


「あまり無理はなさらないでください。それと私でよければ、いつでも修練にもお付き合いします。私は流樹様の付き人ですので、なんでも仰ってください!」


 彼女は流樹に仕える付き人だった。水波の次期当主である流樹には、側仕えや護衛の意味も込めて、二人の付き人が現当主から与えられた。


 水葉は水波の分家の如月家の出で、流樹とも同い年であり、その才能も分家の中では高い。そのため、十二の頃から、彼女は付き人として流樹に仕えている。


 今日の昼は付き人のうち、水葉ももう一人も、別の案件があり流樹に付き従えていなかったが、本来は彼女ともう一人が彼の護衛につくはずなのだ。


「……別に大丈夫だ。それよりも何か用か?」

「あっ、はい! 当主様が流樹様をお呼びでしたので、私が伝えに参りました」

「父上が?」


 少しだけ嫌な表情を浮かべる。昼の報告は先だってしていたが、所用で外に出ていた、当主にして父である水波流斗と今日はまだ、直接顔を合わせていない。


 自らの失態を報告しなければならないのは辛い。自分自身の責任ではあるが、火野の娘――しかも自分の顔も名前も知らなかった無礼で世間知らずの女――に助けられたのでは、父もかなりお怒りであるのは想像に難くない。


「わかった。少し着替えてすぐに行くと伝えてくれ」

「はい。わかりました、流樹様! ではまた後で!」


 ぱたぱたと急ぎ足でその場を後にする水葉に、そそっかしい奴だと思いながらも、父を待たせるわけにはいかないので、すぐに着替えを済ませに自室に向かう。


「父上、お待たせ致しました」


 着替えを済ませ、父の待つ部屋へと向かうと、障子を開け、頭を下げる。


「うむ。来たか。入れ」


 流樹に似た顔立ちの眼鏡をかけた壮年の男がいた。彼が流樹の父である流斗であり、当主にして水波最強の退魔師である。


「はい。このたびは申し訳ありませんでした」


 部屋に入ると、そのまま父の対面に正座する。


「……報告は受けている。だがまさか火野の娘に助けられるとはな」

「すべては僕の失態です。返す言葉もありません」


 父が苦虫を噛み潰したような表情を見て、流樹はさらに深々と頭を下げる。


「……まあいい。封印が破られた赤面鬼は滅びた。水波としては懸念事項が一つ無くなった。それに赤面鬼による被害もなかった。また火野の娘が倒したというわけではないという報告も受けており、火野に確認したところ、向こうの当主も同じような回答をしてきた」


 この件に関しては、火野に借りを作ってしまったが、一般人への被害が出る前に処理できたので、そこまで大きな失態ではない。


「だが気になるのは、赤面鬼が急激に強くなった理由だな」

「はい。あれは成長などという速度ではありません。進化と言っても過言ではないかと……」


 その言葉に流斗は考え込むが、明確な答えが出せるはずもない。


「その件に関しては火野も同じようなことを言っていた。今度の六家の会合でも議題に上がるだろう」


 それだけ、火野も水波も深刻に考えているということだ。


「だがまあよい。それと今回の失態はお前一人に責任を負わせるつもりもない」

「寛大な配慮、ありがとうございます」

「とは言え、何も無いわけにはいかぬのでな。お前には来週末に水葉と水明を連れて、奈良に行ってもらおう」

「奈良ですか?」

「そうだ。お前達には京都にある氷室家の本家に、俺の名代として行ってもらう」

「名代として?」

「そうだ。そしてお前も次期当主として、知らねばならぬことがある」


 その時の父の顔を、流樹は一生忘れることは無いのだった。

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