重罪人。
「禁固一年が妥当だろうなあ」
「しかし、なんでこんなバカな事を」
「多分あのガキが、あるいはあの〝レドル〟の仕業だろう、奴はまた免罪だろうな」
「いいよなああいつは、村長の親戚だろう?」
朝目覚めると階下の外が騒がしい、ロベルは、ゆっくりと体をおこすとしたを覗き込んだ。
「しかしバカな奴だ、せっかく村長が多めに見てやるといったのに〝また悪さをして罪を重ねるとは〟」
ふとその言葉に嫌な予感がよぎり、すぐさましたに降りて話をしている衛兵たちに声をかけた。入口をでた傍には衛兵が二人いた。
「ああ、あなたを待っていたのですよ」
「あなたのお知り合いの〝セーゲル〟という奴が村の秘宝を盗もうとして」
「また新しい裁判の最中です、行きますか?」
バカな知り合いがいたものだという感じで二人は笑っていった。
「ったく、早くはじめろよ、しょーもねえなあ」
「……」
村長と対面にエドとセーゲルが並んで座らされている。今回の刑罰は、二人が同じ重さになるだろう、すぐに村の要職の人間たちもよばれ、がやがやと、以前より野次馬が増えてにぎやかな状況で用意が進められていた。
ロイドがやってくると、セーゲルは、めんどくさそうにかおをそらした。ロイドは、セーゲルの傍により、小声で話しかける。
「なぜ君はバカな事ばかりするんだ」
「いや?ちょっとこの少年の周辺の事情に気になる事があって」
「いったい、なんのことだ、君の力にかかわる事でもあるまいし」
「……」
黙りこくって落ち込んだ様子のセーゲルに、ロベルはすぐに状況を察した。
「!?力をつかったのか?つまり、この少年と初めて会ったときか?」
「ああ、頼まれたんだよ」
そばで、ぽかんとした顔をしてエドは二人の様子をみていた。
「この少年に頼まれたわけでもあるまいし」
「緊急事態らしくて、なんか、ほっとけねんだよ、不幸に見舞われた人間って、どうせ不幸なら、同じ不幸な奴が何やったって同じ事だろ」
しばらくして状況が整うと、村長は素早く刑罰を言い渡した。
「禁固1年半だ」
セーゲルは顔色一つかえない。エドにも同じ判決がくだり、その場はまたお開きとなった。セーゲルは、レドルが始終ニヤニヤしていたことと彼だけが捕まらなかった事にいら立ちを覚えていた。
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