脈動

 同じ頃、薄暗い地下らしき場所で、村長のガドが、光るの根のような地中を這うものを仰ぎ見て、呟く。

【星のスフィア・ネットワークよ!どうかよみがえらせておくれ、私の息子たち、そして……〝本当のレドル〟を】

 彼が仰ぎ見る先には、光りはびこる大小の根の中にホログラムのように浮かび上がる彼の親族らしき姿と、レドルと呼ばれる男の姿―左上半分に紫の斑のある男―だった。


「で?何をすればいいんだ?」

 丁度夕方ごろ、ある男が牢を訪ねてきて、エドとセーゲルを労う。それはレドルという男、左上半分に紫斑のある男だったが、初対面のときセーゲルは既視感を覚えながらも口にせず、彼と握手を交わした。確かに男前の男で、ひょろひょろとした体形意外は鋭い目つきをしていて、長髪を後ろにながしている、えくぼ、目じりにしわがあり、老けても見えたがとても聡明そうに見えた。

「今夜、牢屋の鍵を開けに来る、お前は“村守りの剣”を抜きにいけ、もし抜けたなら、俺の仲間と認めよう」

「認めたらなんだっていうんだ」

「牢から出してやる、俺の権力を使って」

「わあ!」

 彼の言葉をきいて、エドはぱーっと顔を明るくした。


 その夜、ロベルは宿屋で眠っていたが妙な物音がして外にでた。村長が、小さな子供をつれて隠れるようにどこかへ向かっているようだった。

「どこへいくのですか?」

「……ああ、あんたか、あんたは知らんでいい、この子を〝大人〟にするんだ」

「ああ、通過儀礼ですか、これは失礼しました」

 確かに、村々にはそれぞれ通過儀礼が存在する、成人になる事を認め、魔力の使用に責任を持たせるための儀式だ、その中には痛みを伴うものも存在するが、村々の規律や、おきてにそれはよる。

「いっていいか?」

「外部のものが指図することではありません」

 そして、その夜は自室に戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る