刑罰 英雄グローラ
「なるほどのう」
「……」
すべてを説明し終えたあと、エドは縄でしばられ落ち込んでいた。
「お前にはずいぶん慈悲をかけてきたと思ったが、まだ反抗的な態度をとるとは」
「あの守衛は、僕の両親の魂が!!」
「!!この村にはこの村のしきたりがある!!誰もお前の言う事を、あの二つ目の出来損ないの事を”守護者”とみとめてはおらん」
「守護者?」
エドの背後で相変わらず拘束されているセーゲルは、衛兵に尋ねる。衛兵は答える。
「よそ者には関係ないだろうがな、その昔この村には、偉大な英雄がいたんだ、〝英雄終末大戦〟に参加したこともあるほどの……彼の魂は守衛に封印され、今もこの村を守っているという話だ、村長のご先祖さ」
村長は続ける。
「よいか?お前のいう根拠のない話を信じる必要などない、我々の村は今でもあの守衛に守られておる、故に魔物たちを引き寄せないですんでおるのだ、お前はあの守衛が問題があるというがそんなわけはない」
その後、エドは衛兵に連れていかれた。セーゲルはよくある光景だと気にも留めていなかったが、エドは奇妙な顏をしていた。何かを嘆願するような。
「お兄さん、助けて、お兄さん!!」
「何をそんなに焦ってる?」
「これは、この罰はしょうがないことだけど、僕は近々贄に……!!」
その瞬間、衛兵がエドの口を塞いだ。
(何か訳アリなのか?)
そう思ったが、セーゲルは自分が前に引っ立てられて、村長の前に座らせると、それどころじゃないと思い、むすっとむくれながら村長をにらみ返した。
「で?あの子はどうなんの?」
「……よそもの、心証をよくしたほうがいいぞ、これからお前にも裁きを下すつもりじゃからのう、冒険者といえど、郷に入れば郷に従え、この村の事を好き勝手されては困るのだ、これでもうまく回っている村じゃからのう」
「あそう、で?あの子は?」
「はあ……50回鞭打ちと三日禁固じゃのう」
「……多いな」
「ほう?」
「俺はよそものだが、あんたの考えやあんたの人となりはよくわかるぞ、あんたは代々この村のお偉いさんで、故に傲慢、過去の栄光にすがるぼんくらだ」
「よいじゃろう、お前には特別な罪をあたえてやろう、あの子の倍の」
村長は立ち去ろうとし、ロベルはつい口をだそうとする。
「ちょっ」
その瞬間、セーゲルが同じような反応をした。
「ちょっとまて!」
「なんじゃ?」
振り返る村長。
「あの子の罪も、半分くれ……」
「……」
村長は、しばらくセーゲルをにらんだが、やがてあきれたように向き直りながら背中をみせて脇の守衛にいった。
「いいじゃろう、奴に相応の罰をあたえてやれ、奴の望み通り」
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