優雅な朝
その日の朝、ニニ村にてロベルは、ある大事な場所へ案内するといわれ、村長のあとへ続いた。
「ソーシャル・コアを見せます、私どもの偉大なる先人が村深くの旧遺跡に埋め込んだものです」
その場所は、まるで城のような壁をもち、大木を覆うようにできていた。だがそういうには家一つ分ほどの大きさしかない。老人はコアを見るのを楽しみにしていた。なにせ、それは平和の象徴だ。かつて魔の王と魔王軍が存在していた頃には拝む事ができなかったものだ。この村もきっとその頃にはコアを没収されていたことだろう。なんといってもソーシャル・コアのような魔導コアをつくるには何十年、下手すると何百年もの月日がかかるのだ。しかしいざその扉の鍵に村長がてをかけた時だった。
「どいてどいて、村長はどこだ」
「何だ?」
後ろから、人込みをかきわけて鎧を半分つけた男が息を切らして走ってきたのだ。
「罪人を捕まえまして」
「罪人?何の」
「遺跡と魔導守衛の破壊です」
「何いい!!??」
ロベルもついて、街はずれにその様子を見に行った。確かにボロボロになった魔導守衛がある。丁寧に魔導コアも停止の呪文がかけられている。村長がすりより、ソレに手をかざす。
「この魔導守衛はここでちゃんと動かないように〝封印〟してあったのに」
(ふむ……)
ロベルは直せないわけではなかったが状況が把握できていないのと村のごたごたにあまり首を突っ込む気がなかったので様子をみていた。ふと、村長のおつきの人間が、村長に睨まれる。
「まさか、あのガキ……エドが関わっているんじゃないか?ここに出入りするような輩はアイツくらいじゃろう」
そういわれると、ここはきっちりと魔導結界が張られている。この結界を破る程度の魔導士や冒険者でなければ破れないだろう、まあ、その程度のやわな結界であることには違いないだろうが。とにもかくにも現場を把握し終わると、再びロベルと村長は村へもどった。
「やーーっぱりか、このガキが!!甘くしておればつきあがりおって……!!」
「父さんは……母さんはまだ生きている!!」
村へ戻ると、診療所にその子どもは寝かされていた。エドという子供だ。体をおこして大人たちを警戒しているようで、こっそりロベルはダドロ医師に耳打ちで尋ねる。
「この子供はどういう子なんですか?」
医師は気まずそうに答えた。
「この子は、この村の嫌われものなんですよ……村八分、ほとんどその状態で、あまりにやんちゃがすぎるんです」
その会話の向こうでも、子供と村長は口喧嘩をしていた。
「俺は勇者になるんだ!!」
「お前にゃ無理じゃ、誰もがお前の力を見下しておる!」
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