5話 夕暮れと日々
昼食を終え、様々な場所を案内され人々と関わり、やがて、明日、最後に案内していないとっておきの場所を案内するといわれて、ロベルは空を見上げるともう夕日が刺していることに気づいた。
「ありがとうございます」
「え?」
長老と歩いている時、ふいに彼がそういった。
「たとえ、あなたの話が嘘であれ、村人たちは希望を見つける事でしょう」
「はあ、しかし嘘では……」
「嘘であっても希望を与えてくれる、英雄の伝説も……」
「それはどういう意味……」
ふと、高所で物音がして見上げる。長年の蓄積か、異常な物音にはすぐ耳が反応し、体が動く。潜り抜けてきたピンチの数がそうさせた。
「危ない!!」
何かが村長の上に落下するのに気づいて、とっさに魔法でそれを防ごうとした。
「ゲレド・ウィンド」
そのものの重さと勢いを殺す魔法だ。だが落ちてきたものの重さと容姿に少しぎょっとした。それは、子供だった。子供は尻もちをついて、ロベルは頭上を見上げる。木の枝が折れて垂れ下がっている。
「よかった、遊んでいておちただけか」
子供はわんわんとなきじゃくり、村長に近づいていく。村長は笑っていった。
「何ごともなくてよかった、子供は宝じゃ」
「村長、あなたも危険で……」
「いいんだ、私の事は」
その言葉にどこか、この村長の温かさを感じたロベルだった。
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