第7話 友達作り
「なんでですか?」
素直に気になったことを黒宮さんに聞いてみた。
「好きじゃなくて遊びでヤってたら、って考えたら……やっぱり、許したい……」
「遊びの方がダメが気がするんですけど」
「それはそうなんですけど、その場合、光太郎くんはまだ私のことが好きだってことじゃないですか?」
この人は何を言っているのだろうか。
冷められている可能性もあるんだぞ。
「それなら、許してもいいかなって」
自分から振られる形にするのなら、まず嫌われなきゃダメだ。
そもそも、そんなことしてるやつを許すのかよ。
「自分で聞いた方がいいんじゃないんですか?」
「そうですけど、変じゃないですか?」
「いや、俺が聞く方が変な気がするんですけど」
まあでも、俺が聞くことによって、仮にそこから佐藤がまだ黒宮さんのことが好きだとかわかっても、俺が適当なことを言ってそれを防ぐことができるわけだ。
「それはそうだけど」
「まあ、わかりました。俺が聞いてみますね」
「ありがとう」
「いえいえ」
とは言ったものの、神崎さんと俺には接点というものが何一つないわけだ。
どうやって知り合えばいいのだろうか。
全くわからないのだが。
「でも、そもそも俺は神崎さんと知り合いですらないし、なんなら一言も話したことないんですけど」
すると、黒宮さんは胸元で両指をくっつけて。
「それなら大丈夫です。無理やり、明日、二人が出会うイベントを作りますので」
ニコッと微笑む黒宮さん。
「なるほど」
ということで、明日、黒宮さんが俺と神崎さんを合わせるイベントを起こすことになりこの日は終わった。
いや、その前に。
「黒宮さん、もう一回シませんか?」
ほぼ毎日のようにシているわけだが、いや、愛し合っているわけだが、セックスはシてもシても飽きないものだ。
むしろどんどんとヤることになれていき、気持ち良くなっていく。
最高。
「私も、隼人くんを愛したいです♡」
○
次の日の放課後、俺は黒宮さんに呼ばれ屋上にやって来た。
どのような形で神崎さんと俺を合わせるのだろうか。
ガチャリ、と屋上の扉を開けると安全柵に前向きで寄りかかり、外の風景を見ている黒宮さんと神崎さんの姿があった。
後ろを振り向く黒宮さん。
すると、黒宮さんは俺にも聞こえるほどの声で神崎さんに向かって。
「そうでした、私用事があるんでした」
え?
「桜、先に帰りますね」
そういう感じかよー。
まじか、ということは……。
「なら、私も帰るよ。そもそも、誘ったの静香じゃん」
「そうですけど、もう少しこの風景を楽しんだ方が気持ちがスッキリするんです」
「えー」
嫌そうな顔をする神崎さん。
そんなの無視して、黒宮さんは去って行った。
と、神崎さんと目が合った。
「なによ?」
初めて神崎さんに声をかけられた。
「いや、別に……」
黒宮さん、なんてことしやがるんだ……。
無理だろ、いきなり二人で話すのは。
てか、強引すぎる気がするのだが。
「あっ、私ももう帰るから……どくね」
それはダメだ。
止めなければ。
「いや、話しませんか?」
「え、私たち初対面よね? そもそも、君の名前知らないんだけど……」
「俺はあなたの名前を知ってますので。俺は櫻井隼人です」
「ふ〜ん、てか、なんで私の名前を……あー、静香の影響力か」
少し、しょぼんとする神崎さん。
「んで、何話すの? 内容によっては帰る……面白そうなのだったら、残るけど」
さてと、どうするとしようか。
「あっ」
「?」
そうか、いいことを思いついてしまった。
「実は俺、今日黒宮さんと神崎さんが放課後に屋上に行くことを、たまたま二人が話してるときに聞いちゃって。それで、俺は黒宮さんが好きなんです。だから、黒宮さんと話せるかなって……結果的には無理だったんですけど、神崎さん。俺に黒宮さんのことを教えてください!」
「え、静香、彼氏いるのに?」
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