第6話 好きな人いる?
放課後、秋葉と一緒に帰っている時のことだった。
ふと、秋葉は言った。
「隼人って好きな人いないの〜?」
と。
いきなりどうしたのだろうか。
疑問を持った俺は秋葉に問う。
「なんだよいきなり」
まあ、大体そうやって聞いてくる理由はわかっている。
自分で言うのもあれだが、秋葉俺に好意を抱いているのだ。
これは自意識過剰だとかじゃなくて、間違いなくそうだと言える。
なんせ、俺と秋葉は兄妹のようなものだ。
態度でわかる。
秋葉口を尖らせて。
「別に〜、気になったから〜」
でも、俺は別に秋葉に恋愛感情なんてものはない。
妹として秋葉を見て育って来てしまったからだ。
異性、それも血も繋がってないというのにたまにうちでお風呂に入って行ったときに、誤って洗濯機の中に秋葉の下着があり、それを見ても興奮しない。
好きな人ができた。
黒宮静香という学年一可愛い女の子と男子達の間で言われている女の子だ。
前までは遠くにいた存在で、興味がなかった。
でも、身体の関係を築きあげ、好きになってしまったのだ。
「いや、いないけど」
だからと言って、秋葉に教える義務はない。
むしろ、俺のことが好きとわかっているからキープとして使える。
もし仮に黒宮さんと付き合えなかったときにである。
これがどれだけ最低な行為かということくらいわかってる。
こんなチャンスないんだ、仕方ないんだよ。
「ふ〜ん」
嬉しそうにニヤニヤとしだす秋葉。
「よかった」
「え、何が?」
秋葉は手を後ろにやって、笑顔で。
「なんでもな〜い!」
黒宮さんほどとは言わないが、秋葉もまた美少女だ。
男子の間でもかなり有名であり、よく、幼馴染なんだろ? 、と秋葉に好意を抱いている男子が俺のところに来る。
俺を接点にしようとしてきているわけだ。
もちろん、秋葉と接点を作らせないように全て断っている。
もしかしたら秋葉が俺以外の男子を好きになる可能性があるからだ。
秋葉は中学からずっと俺のことが好きだというのがわかる。
つまり、秋葉に告白すればいつでも付き合えるということだ。
最終手段として、俺は中学の時からとってある。
きっと、黒宮さんが自殺しようとしなければ俺は秋葉を好きになっていただろう。
最低だな、俺って。
「隼人」
「ん?」
「秋葉は好きな人いないのか、って聞かないの〜?」
聞かなくてもわかる。
俺だろ?
「あ〜、じゃあ……秋葉は好きな人いるのか?」
ニコニコとしだす秋葉。
「私はいるよ〜!」
俺はわざとらしく。
「え〜、マジか!? 誰々?」
「内緒〜」
なんとしてでも、黒宮さんと付き合いたい。
ごめんな、秋葉。
その恋が実ることはないと思う。
「うわ、気になるじゃん!」
「言いませ〜ん」
黒宮さんとシてから気分がいい。
調子に乗っているんだと思う。
けど、俺にだって好きな人を選ぶ権利はあるわけだし。
一夫多妻なら心置きなく秋葉も好きになったけど、そうはいかないんだ。
「隼人、私頑張るね」
「え、何が?」
「色々と!」
ふと、こんなことを思ってしまった。
──エッチだけならいいのでは?
と。
○
「隼人くん」
放課後、黒宮さんから例の女子トイレに呼び出されてやってきた。
そして、ここに来ればすることは一つ。
愛しあった。
キスをした。
舌を入れ熱く、お互いの唾液を交換した。
さすがに俺もゴムを買ってきたので、それを使ってシた。
0.03ミリだけどやはり生が一番黒宮さんを抱いていた気がしたので、今度は0.01ミリを買うとしよう。
「今日ね、光太郎くんと桜が楽しそうに話してたの。ねえ、隼人くん」
「ん?」
「桜は光太郎くんのことが好きなのか聞いてほしいなあ」
黒宮さんからそんな提案が来た。
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主人公、最低ですね。
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