第3話 第二次東京大空襲

 数十分が経過して、救助の人が出てき始めた。

「舞!」

 黒衣の女性が、棺を背負って駆けて来る。

 少女の名前は「舞」というのか、名乗っていなかったので分からなかった。

「アカツキは?」

 舞は無言で首を振り、黒く焦げた塊を指差す。

「そう……」

 女性は静かに涙を流し、アカツキさんにそっと触れ、棺に入れる。

「今までありがとう」


「あなたは?」

 しばらくして女性が俺のことを聞いてきた。

「鳴子トキヤです。あのアカツキさんから異能力を託されたみたいな……」

「そう。だったら、あなたも一緒に来てもらうしかないわね」


「私の名前はドロシー。こっちは冥利舞。私達はアカツキと同じギルドに所属してる」

「ギルド?」

「異能力者の集団のことよ」

「い、異能力者? そんなのが……」

「驚いていると思うけれど、これが現実なのよ」

 俺は、この現象を信じざるを得なかった。



あの現象は第二次東京大空襲という名前が付いた。

表向きはただの大火事ということになっている。

 それで亡くなった人は数百人に上る。

 都による大規模な慰霊祭が行われた。



「現実世界での鳴子トキヤは死にました」

俺の名前も慰霊碑に刻まれた。

俺はドロシーのギルドに入ることになり、現実世界とはオサラバしなければならない。

そのため、今回の大火事を有効活用した。

 家族や友人と離れるのは辛かったが、この現象を受け止めざるを得なかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る