第24話 好奇心
第1ダンジョンにたどり着くと、ハーフリンクたちが困った様子でこちらに駆け寄ってきた。その中には同じくらいの身長の小学生4人も混ざっていた。
「清美さん。この子たち中に入ってきちゃったみたいなんですけど大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫ではないけれど、いずれは中に入ってもらわなければいけなかったし・・・」
私は明確な答えを示すことができなかった。その様子を見て子供たちは嬉しそうに話し出す。
「お姉ちゃん。ダンジョンなんてものを独り占めするなんてずるいよ」
「別に独り占めしているわけではないんだけど。危険もあるからちょっと様子を見ていただけで・・・」
私がはっきりと言わなかったのが悪かったのか子供たちが調子に乗り始める。
「俺たちもダンジョン探索したい」
「俺もあんな魔物を討伐したい」
2人目の子供が指さしているのはオークの死体だった。子供だからなのか、オークが死んでいるからなのかは分からないが、こんなことを言えるのは蛮勇だなと思った。
残りの2人は大人しくしている。おそらくではあるがオークの死体をみて口を出す気になれないようだ。
私はこの2人を説得して何とか小学生4人にお引き取り願おうと思った。
「君たち2人は静かだけれどお家に帰りたくない?」
2人はうんうんと頷いている。どうやら困ったのは先に話し出した2人で、後の2人はついてきただけみたいだ。
「君たち2人とこの2人の意見が違うようだけれど、危ない目にあってもこの2人を守ることができる?私には仲間がいるけれど、君たちは4人でしっかり話し合って準備してからダンジョンに来た方がいいと思うな~」
蛮勇の2人はそれでも探索したいと駄々をこねていると、ダンジョンの入り口から大人が数名入ってきた。
「本当に中はこんなことになっているんだな。おい、いたぞ。お前たち帰るぞ」
どうやら子供たちを探しに来ていたようで私は逃げようとしている子を捕まえて大人たちに差し出す。残りの2人は大人しくついてきていた。
子供たちを捕まえると、私より年上の女性が話しかけてきた。
「清美ちゃん。ごめんね。今後はダンジョン?に入らないようにしっかり言いつけておくから」
「いいえ。勝手に入らないようにしてもらえればいいです。私1人では手が回らなくなってきていますので私と一緒ならダンジョンに入ってもいいと伝えておいてください。今は時間がないので無理ですが・・・。あと皆さん。ステータスと呟いてみてください」
大人たちは不思議そうに、子供たちはノリノリで「ステータス」と呟いた。
「おそらく透明な画面が出てきていると思います。それを町役場へ報告してもらえませんか。何か協力してほしいことができるかもしれないので」
「分かったわ。あなたたち今から町役場へ行くわよ」
そういって子供たちを引きずりながら大人たちはダンジョンの外へと出ていった。
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