第12話 オーク
佇んでいる巨大な豚、※今後はオークと名付ける に驚いた私は声をあげながら後ろへ下がる。
その隙に、ウルフが2匹オークの後ろへ回り込んでいた。私はそれに気づかず叫び声をあげながら何とか四つん這いでオークから距離をとろうと逃げる。
そんな私の姿をオークは見て、笑っているようだった。がすぐにその顔が苦痛で歪んだ。
その原因はウルフで2匹同時にオークの両ひざをかみ砕いていた。その場で倒れたオークに向かって残りのウルフたちも駆け寄り両肘と首の骨をかみ砕いていた。
こうして、私はオークと対面して生き残ることができた。なお、オークをしとめたウルフたちは尻尾を大きく振りながら私のもとへ駈け込んできた。
なめることはしなかったが首筋を私の手のひらにあてて構ってほしそうだった。
私の気持ちが落ち着くまでウルフたちに構い続けた後、現実に戻りオークをどうやって処分するかを考える。それにこの第2ダンジョンは危険が多そうだったので、まずは町役場へ向かって情報の共有とリアカーを借りに向かった。
町役場の職員さんは比較的若い人で、オタク文化に触れている人だったので第2ダンジョンのことは知らせないという方向で話が進んだ。リアカーも問題なく借りることができたのでオークを運ぶべく引き返す。
この時私は失念していた。リアカーにオークをどうやって載せるのかを。
結局、気合と根性とウルフたちの手助けで何とかリアカーに載せて第1ダンジョンへとオークを運んだ。
ダンジョンに入るとリン君が待ち構えており、
「オークですね。良く倒せましたね」
「ウルフたちが動きを止めて急所を一撃でした。私は怖くて逃げるので精一杯でしたよ」
私が説明するとウルフたちはどこか誇らしげで、リン君は苦笑いだった。
「でもオークの肉は匂いが強くてとてもではありませんが食べられたものではありませんよ」
ファンタジーはそう都合のいいものではないらしい。
「だけど、ウルフたちなら問題なく食べるのかもしれませんね」
私はウルフたちに食べる?と聞いてみると首を横に振っている。犬の嗅覚は人間より鋭いらしいので人間が食べられたものでないのであればウルフにもきついだろうなとは思っていた。
そこでリン君から提案があった。
「せっかく魔力を含んだ生物なので堆肥として利用しましょうか。解体の手間はかかりますが栄養素が多いので捨てるにはもったいないです」
そこはリン君たちハーフリンクに任せるとして何か大事なことを忘れている気がした。
だが、私は思い出すことができずにその日は疲れたので帰宅することにした。
そして、家に到着して思い出した。オークとダンジョンの外で遭遇したことを・・・。
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