第10話 ご近所さん

ピクシーとの話し合いを終え、中間地点へと戻るとちょうどお昼ごろになっていた。そのため、私は一旦家に帰り、ご飯を食べることにした。


家に着くと、家族はすでに昼食を終えていた。


「何か食べるものないの?」


と母親に尋ねると。


「カップ麺で良ければあるわよ」


と言われたのでお湯を沸かしてカップ麺をすする。これもいずれは貴重品になるのかと思い、味わいながら昼食を終えた。


「ご馳走様でした。ところでお母さん。家庭菜園に詳しい人知らない?」


「あんたの同級生の母親の江口さん。家庭菜園やってるわよ」


「分かった。ありがと」


長い間会っていなかったが、私は江口さんを訪ねてみることにした。


江口さんは家の前にある畑にいた。顔が変わっていなかったためすぐにわかった。


「江口さん。農業について相談があるんですけどいいですか?」


「あら。清美ちゃん。大きくなったわね!。相談事だっけ?いいわよお茶入れるから上がって」


そういって江口さんは家へと帰っていった。私は歩いてそれを追いかけ玄関で待っていると居間まで案内された。


「で、農業の相談だっけ?。私も自己流で家庭菜園しているだけだから詳しいことは言えないわよ。それでもいいなら教えてあげるけど。それにこの島狭いから潮風で野菜はあんまり育てられないと思うわよ」


「実はいい場所があるので育て方と土の作り方を教えてもらえるだけでも助かります」


「そこまで言うなら今から行きましょうか」


とんとん拍子に話は進み、江口さんにもダンジョンに入ってもらうことにした。ちなみにダンジョンについて説明したが分かってもらえず、船が今後も動かない可能性が高いという話は信じて貰えなかった。


そんな話をしつつダンジョンに入ってもらうと例の声が聞こえたようだが、江口さんは。


「ステータス?」


というとステータスボードが現れたことに驚いていた。


「最近の技術はすごいわね」


なんてことを言っていたのでこれが現実だとも信じていないかもしれない。


私と江口さんはそのまま中間地点というか拠点となっている畑予定地へ行くと、ハーフリンクたちがまだ土を耕している最中だった。


江口さんは。


「あんなに小さい子、この辺りにいたかしら?」


と言っていたがうまくごまかせる気がしなかったので本当のことを言うと


「またまた~」


という風に返されたので詳しく説明しても無駄だということを悟った。ちなみに畑予定地の土を見て貰った後、森の腐葉土を確認してもらった。


「土と腐葉土を混ぜ合わせれば十分作物は育つと思うわよ」


とのお墨付きを頂いたので持ってきていた野菜の種を一緒に植えてその日は家に帰った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る