第9話 ピクシー
ドワーフの居た鉱山を離れ、一旦中間地点へ戻ることにした。というのもピクシーのいる花畑に行くのに最短の道は中間地点を通る必要があったからだ。
中間地点にたどり着くと、今まで見たことのないハーフリンクが畑を耕している。しかし、木でできた農具であるため効率が悪そうだ。
そんな様子を眺めていると、リン君が駆け寄ってきた。
「清美さん。ドワーフたちはどうでしたか?」
「ドワーフの長とはあえませんでしたが装備の整ったドワーフの方が長と話をつけてくれるということで数日、時間をあけることにしました」
「それはおそらく戦士長でしょうね。彼ならばうまくやってくれるでしょう。それでウルフの数が減っているのは何か危険な魔物でも現れたのでしょうか?」
「いえ。食料がラッドモールとかいう魔物に食べられて困っていそうだったので番犬として預けてきました」
「そうですか。この辺りではウルフに勝てる魔物はそうそういないので何かあったのかと思いましたよ」
そんな話をしている間にウルフたちはメンバー交代をしていた。大人が5匹、子供が3匹の計8匹がピクシーの所へ向かうことになったようだ。
「では、ウルフたちの準備が整ったようなのでピクシーたちの所へ向かいますね」
「はい。大丈夫だと思いますが、ピクシーは幻影の魔法を使います。敵対しないように注意してください。帰り道がわからなくなる可能性が高いので」
「分かりました。では行ってきます」
そういって私たちはピクシーのいる花畑へと向かった。道中はやはりホーンラビットで狩りの練習をさせながらの旅路となった。勾配がないため比較的楽な道のりだったが花畑につくと草花の多さよりもそれに群がっている蝶の多さに鳥肌が立った。
一旦目をそらして気を取り直しもう一度眺めると、そこには蝶が見えなくなるくらいピクシーの集団が私の目の前にいた。
驚いた私は後ろにのけぞるとピクシーたちは後ろに下がった分、距離を詰めてくる。そこで王冠を頭にのっけたピクシーが前に出てきた。
「人間がこんなところにいるなんて珍しいわね。しかも妖精の加護を持っているなんて。私たちに何かお願いでもあるのかしら?」
私はハーフリンクやドワーフたちと同盟を結んでそれぞれの地域の中間地点に畑を作ろうとしている旨を伝えた。すると
「そこに行くわ」
即答であった。
「あの~。もうちょっと考えたり相談したりしなくていいのですか?」
「長は私だもの。それに植物を育てるならその蜜を私たちが頂いてもいいのでしょう。蝶と蜜の取り合いをするのには疲れていたのよ」
というわけでピクシーたちには植物が花を咲かせたら中間地点まで来てもらうことになった。
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