第8話 ドワーフ
私が気が付いた時にはウルフは群れとなっており、10匹の大人と8匹の子供からなる集団となっていた。
私は何が何だか分からずに
「番号!!」
と叫ぶと大人のウルフが1匹ずつ吠えた。いつまでたっても「ワン(one)」だったがww
そんな冗談は置いておくとして、大人のウルフのうち半数と勉強のために子供2匹を連れてドワーフの居る洞窟に向かうことになった。
その間にハーフリンクの皆が協力して木の農具を作成した後、農作業にいそしんでくれるそうだ。ありがたや~
私たちはドワーフと話をするために、鉱山へ向かうことにした。道中にはウルフやホーンラビットがいたが私の周りのウルフは下手に他のウルフには近づかず、ホーンラビットは子供に狩りの練習をさせていた。
そんなまったりとは言えない時間を過ごし、鉱山に近づくとつるはしを叩きつける音が聞こえてきた。私たちがその方角へ向かうと3人ほどのドワーフと思われる人たちが洞窟から岩を担ぎだしているところだった。
私が声をかけようとすると、ドワーフたちがウルフを発見したらしく、
「ウルフの群れだ。洞窟へ退避しろ!!」
と言って洞窟へ引き返してしまった。私が洞窟を覗き込むとそこは真っ暗で明かりなしでは進めそうにない。ドワーフは夜目が効くのだろうか?と考えつつも、洞窟の中へ向かって声をかける。
「先ほどのウルフは私の従魔です。お話がしたいので出てきてくれませんか~?」
3度ほど声をかけると重量のあるものが動いている音が聞こえてきた。すこし洞窟から離れて見守っていると、そこには重装備を身にまとったドワーフが6人いた。その中の1人が私へ話しかける。
「ウルフが従魔というのは本当か?」
私がウルフのほうへ手を向けると、その手に向かってウルフが首をこすりつけてくる。
「本当のようだな。それで私たちへ話があると言っていたが何事だ?」
「まず、私はダンジョンの外から来た人間です。それでダンジョンの外は海に囲まれていてそこに魔物が現れたことで食料が確保できなくなりました。そのため、ダンジョンに畑を作ることになったのですが、ハーフリンク族が森の近くを中間地点にしてドワーフ族とピクシーとの協力関係を築きたいとの申し出がありました」
「そのためにウルフを従魔にしているあなたが、仲介人として話をしに来たと言うことですかな?」
私がうなずくと、ドワーフのリーダーと思われる人はひげを撫でながら考え始めた。
「初めに戦力を訪ねるようで申し訳ないが、ウルフはどのくらいいるのかな?」
「大人が10匹、子供が8匹です」
「ふむ。拠点の防衛にもウルフが滞在しているのですな」
「その通りです」
「実は我々の食料もラッドモールという魔物に食べられてしまい心もとない状態なのです。しかし、我々は鉱石を捨てることができません。それでもよろしければ私が責任をもって長と話をつけることを約束しますがいかがでしょうか?」
「それで問題ありません。それでウルフの手助けは必要ですか?」
「!!!そのウルフはテイマーの方と離れても大丈夫なのですか?」
「拠点にいるウルフも私がテイムしていることになっているので大丈夫だとは思います」
「では大人を2匹借り受けたい。食事はラッドモールを狩りしてもらうことになるのだがよろしいだろうか?」
私はウルフの目を見ると、ウルフの中から2匹が出てきて頷いた。
そのままウルフ2匹をおいて数日後、改めて話をするという約束をして帰りについた。
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