第4話 ウルフ

私たち兄妹は、テイムする方法を一切知らないままウルフ探しを始めた。ウルムの番と子ども4匹の計6匹を発見するまでそのことには一切気が付かなかったのだ。


「私たちってどこか抜けてるってよく言われてたよね」


「・・・」


兄は無言だがその無言が当てはまっているということをよく表しているだろう。


ウルフの親はこちらを警戒しており、子供のそばを離れないようにしている。子供のうち3匹はおびえた様子で親に寄り添っている。


残りの1匹はというと。


「くぅ~ん」


かわいい鳴き声を出しながら私たちのもとへよちよち歩きで向かってくるのだ。


そんな子供を親が首根っこを咥えて連れ戻すこと4回。それでも子狼はこちらへ向かってくる。


ああ、もうすぐ連れ戻されるなぁと思っているとその期待は裏切られた。親の様子を見るとどうやら諦めたような顔をしていた。


少しずつ後ろに下がると、子狼もついてくる。一定距離離れると親と残りの子狼もついてきた。


「このまま出口付近まで行っても大丈夫かな?」


「何か問題があればあのちっさいのが何か言ってくるだろ」


と他人任せな兄に同調し出口まで行ってみることにした。



結果から言うとウルフ一家は出口付近まで付いてきて私たちとあった最初のダンジョンの住民ことちっこいのに餌をもらっていた。


こんなに早くウルフをテイムしてくるなんてすごいですね。


何ともいたたまれない気持ちになった私は、なぜこうなったかを一から説明した。すると。


「じゃあ。この子たちはテイムされているわけではないと・・・」


ちっこいのは顔を青くしてびくびくしている。しかし、ウルフの番が襲い掛かるそぶりを見せないことから徐々に安心してきたようだ。


その様子をみて私は質問する。


「そもそもテイムしたかどうかはどうやって判断するの?」


と話した瞬間その場の空気は凍りついた。唯一、私に興味津々の子狼だけはそんな空気を無視して私にじゃれついてきていたが。


「テイムというのは魔物とその主人に魔力的なつながりが発生した場合に主従を決めることを言います。危険なのは魔力のつながりが魔物の方が大きい場合は魔物が主人になってしまうことですね。それはステータスボードを確認すればテイム出来ているかは確認できます」


凍りついた空気から戻ってきたちっこいのから説明を受け、魔力が何かは分からない私はとりあえずじゃれついてきている子狼の手を取ってみた。


すると、何かが流れてくる感覚があったのでそれを受け入れる。数十秒そのまま受け入れ続けると、流れてくるのが止まった。


「ステータス」


__________


【テイム】

ウルフ * 6


__________


ステータスを開くと、私の予想を裏切り6匹のウルフのテイムに成功していた。

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