第3話 出会い
意外と平和な光景に私と兄が気を抜いていた頃、私の服を引っ張る生物を見逃していた。
「人間さん。こんなところで何をしているの?」
それは私の身長の半分ほどの小さな子供だった。ただ見覚えはないし、草木で作られた服を着ていた。
「あなたは町の子供ではないよね?ここに住んでいるの?」
「そうだよ。ところで人間さんはどうしてここにいるの?」
私は、町の食糧事情のことを簡単に説明した。すると。
「ならこの場所に畑を作るといいよ。この階は魔物は少ないし、土も栄養を含んでいるからきっと立派な植物が育つよ」
「それはありがたいんだけど、あなたの一存で決めてもいいことなの?」
「うーん。問題ないとは思うけれど村長に聞いてみる」
そういうと子供は森の方角へ走っていった。私たちは追いかけるか迷ったが、少なくとも魔物がいるということなのでむやみに動かずに待っていることにした。
30分程待っていると、先ほどの子供が同じ身長でひげを生やした老人?を連れてやってきた。
「村長を連れてきたよ。ね!村長。人間さんが来ていたでしょ」
「ふむ。確かに人間だな。ところでご両人。ここには食料を求めてやってきたということでいいのかな?」
「はい。間違いありません。私たちは海に出て漁を行って生活していたのですが、魔物が海に現れたようで島から出ることが出来なくなってしまいました。そのため、島の外から持ってきていた食料や日用品が調達できなくなりそうなのです」
「分かりました。まあ、ダンジョン内は広いので食料を生産することは可能でしょう。しかし、外敵から身を守る手段は欲しいところですな。少ないとはいえ魔物も出ることですし」
「この階にはどんな魔物が出現するのでしょうか?」
「ウルフなどの動物を模したものですね。手なずけることができれば番犬として役に立ってくれるでしょう。それにはスキルや職業の適性が必要にはなりますが」
「あっ。それなら私がテイマーの職業を持っています」
「おお。それならばウルフを手なずけて欲しいです。稀にですが仲間が襲われることがあるものでして、ウルフを護衛に出していただけるのであれば、畑仕事は我々がお手伝いしましょう」
そうして私たち兄妹は、ウルフを探し始めた。
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