〜連続婦女暴行事件〜 報酬

直人と加奈は依頼人である、塚原邸を訪れていた。直人は直美と真由美にスマホの動画を見せていた。

「以上が報告です。何かご質問等ございましたら、承りますが。」直人は言う。

「ありがとうございます!この動画の警察官が娘の病院に来ていたヤツらなんです。ここまでして頂けるなんて。」直美は感動していた。

「加奈、ありがとう。」真由美は泣きながら言う。

「ううん、私は私の使命を果たしただけよ。」加奈は笑いながら言う。

「これは報酬です。」直美は紙袋に包まれた物を、加奈と直人、それぞれに渡した。

「受け取れません。私は先程も申し上げた通り、自分の使命を果たしただけですから。」加奈は紙袋を直美に返す。

「でも、それじゃ...。」直美は困った顔をする。直人は加奈を見ると深いため息をついた。

「だから、スマートじゃないんだよ、加奈は。」直人は加奈に言う。

「何よ!私がいいんだからいいの!」加奈は不貞腐れる。

「私は有難く頂戴いたします。」直人は自分の懐に紙袋をしまう。

「お母さん、塚原。お2人に私から依頼があります。」直人は改めて2人に話掛ける。

「先程の動画でもご覧頂いた通り、私共は特殊な能力を携えております。この事は決して他言致しませぬ様、お約束頂けませんか?」直人は言う。

「勿論です。絶対に言いません。」直美は言う。

「私も秘密は守ります。」真由美も言う。

「ありがとうございます。」直人は頭を下げると自分の懐から、先程受け取った紙袋を取出し、テーブルの上に置いた。

「?」直美と真由美は直人を見る。加奈も驚いた様に直人を見る。

「これは、私からあなた方お2人に依頼いたしました事への報酬です。どうぞお納め下さい。」直人は紙袋を直美の前に差し出した。

「う〜わっ!キザおがいるわ...。」加奈は直人を引き気味に見る。

「ですが...。」直美は直人を見る。

「私は報酬は間違いなく頂きました。ですので、私からの依頼と報酬もお受け下さい。」直人はそう言うと、直美の手に紙袋を握らす。

「...あ、ありがとうございます!」直美は感動の余り、涙を流した。

「加奈、覚えておけよ。ギルドはその組織も大きくなっている。どこで誰の目があるのかわからない。だが、これなら誰も文句は言えん。」直人は得意気に言う。

「ギルド、めんどくさっ!」加奈は言うと皆笑った。

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