開幕早々、一般人が100億と言う大金を手にしどう使うか気にさせてくれます。
と思えば、コメディが展開され一瞬の内に物語に入る事が出来ます。
コメディが終わり落ち着いた所でタイトルを思い出し、日本で100億を手にした主人公の物語でも面白いが、舞台は日本では無く異世界。
そうなれば、もっと面白い展開に期待が出来てしまう。
立ち上がりの時点で素晴らしいです。
流石はプロが見せる技術と言った所でしょうか。
女の子を守る為漢気を見せる主人公。
良いですね。
その女の子、ヒロインもまた苦境を重ねた悲劇属性を持っていて思わず助けたくなり良い味を出しています。
主人公とヒロインの甘い時間、自分もそんな女の子が近くに居たら良いなと羨ましく思え思わず顔が緩みました。
ひとしきり甘いシナリオを展開した後、シリアスな物語展開。
ギャップ効果が生き、物語に対し更に集中出来ました。
タイトルの目的を果たす為、日本の知識を使い異世界でビジネスを展開していきますがこれはじっくりと成功を掴む流れとなっており、物語をゆっくりと精密に堪能したい方にお勧め出来ると感じます。
百億円という莫大な遺産を受け継いだ青年・冨岡浩哉が、『困っている人を助けろ』という祖父の遺言に従い、地球と異世界を行き来しながら、借金を抱える貧しい孤児院を支援し、子供のための学園作りを目指す異世界経営ファンタジーです。
主人公の冨岡は心優しい青年です。魔法も使えず、特別なスキルも持たない非力な一般市民ですが、彼の武器は金の力と現代知識だ。
金を稼ぐために冨岡は、孤児院を一人で運営する美少女アメリア、孤児の少女フィーネと共に現代食の屋台を開業する。異世界では初めての味に感動した客が殺到するが、トラブルも呼び寄せてしまう。
自分の身は自分で守らねばならない、異世界の厳しい現実とぶつかって一皮剥け、経営者として目覚めていく冨岡の頼りがいある姿に見惚れます。
莫大な資金を元手に異世界でビジネスという設定で興味をそそられる話ですが、育ての親だった祖父を亡くして天涯孤独となった冨岡が、異世界でアメリアとフィーネと出会い、疑似家族のようになっていくアットホームな関係がほのぼのとして和みます。
昨今、自己責任論が騒がれる時代だからこそ、弱者に手を差し伸べられる冨岡の懐の広さ、博愛精神に心を揺さぶられるのです。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)