第103話 ホームセンターで無双する

 まるで元から大富豪であったかのような口ぶりで冨岡は車を走らせる。

 アメリアたちのいる世界に戻るのは少し遅れることになるができることをしよう、とまずは時刻を確認した。

 午後八時、普通の会社は就業している時間である。取れる行動は限られていた。

 しかし、異世界と違いこちらの世界にはインターネットが存在する。


「お金を使うったって、そういうところと繋がりがないもんなぁ。ネットで検索するにしても・・・・・・」


 ハンドルを握りながら冨岡は覚悟に準ずる行動を考えていた。

 欲しい物は異世界には存在しない武器『銃』である。だが、お金を持っていても一般人が簡単に手に入れられる物ではない。

 どこから辿れば行き着くのかすら分からない状態である。


「武器屋に行って『ここで装備していくかい』って聞いてくれれば便利なんだけどなぁ。うーん、外国で買い付けるか? いや、日本に持って入ることなんてできないだろうし・・・・・・あの鏡で外国に飛べればいいのに。どちらにせよ今は難しいか。とりあえず、まだ開いているホームセンターで使えそうなもの全部買い込むかな」

 行き先を決めた冨岡は街中にあるホームセンターへ向かう。

 もうお金のことを考えず、必要なものを必要なだけ買うと決めたのだ。

 

「最近のホームセンターは凄いな」


 ホームセンターで必要物資を探していた冨岡は思わず呟く。

 異世界で野菜を栽培するための農具から肥料。電化製品を屋台以外でも使うための発電機と専用燃料。教会を修復するための木材やモルタル、工具類から釘やペンキ。作業用の作業着と大人用エプロン二枚、子供用エプロン一枚。調理器具や食器類など。

 日々の生活を便利にしてくれそうなものは片っ端から購入。

 それに加えて、ミキサーやトースターなど屋台にはない電化製品や料理の本など新商品開発に使えそうなものも買っていった。

 欲を言えば身を守る防弾チョッキなども欲しかったが流石に売っていなかったため、即座にネットショップで購入しておいた。

 おそらく数日後には家に届くだろう。

 ネットショップで確認すると思っていた以上に何でもあることに驚いた。


「凄いな、武器になりそうな商品というか武器も売っているのか。アナログな武器でも流石にあっちの世界よりも性能はいいはずだし、いくつか買っておくか」


 ホームセンターの駐車場、車の中で冨岡はネットショップに勤しむ。後部座席には購入した商品がパンパンに詰まっていた。それでも積みきれず、明日運搬してもらうよう依頼してある。

 合計五十万円以上も購入した冨岡に対する店側の配慮だ。店長らしき中年男性は低姿勢のまま「今後ともご贔屓に!」と笑顔を浮かべていた。

 続いて冨岡は二十四時間開いているスーパーに向かう。

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