第104話 異世界で金を稼ごう
そこではハンバーガー用の食材以外にも冷凍食品やカップ麺を買い込んだ。
これまで小さな屋台で安定した収入を得ようと考えていたが、それでは足りない。陳腐な言葉だが『金は力』である。それはどんな世界でも同じだ。
武力を持たない冨岡にとって金は身を守る術になり得る。
そう気づいたのはスーパーに向かっている途中だった。
「俺を刺したのは非正規雇用の傭兵だってアメリアさんは言ってたな。ん? 傭兵・・・・・・そうか、俺が強くなることと並行して傭兵を雇えばいいんだ。ボディーガードを雇ってアメリアさんやフィーネちゃんを守ってもらう。ちょっと情けない感じはするけど、後悔するより何億倍もマシだ」
再び陳腐な言葉を用いて表現するなら『最強の傭兵』を雇えばいい。『最強の傭兵』を雇えるだけの収入が今の冨岡には必要だった。
そのために売れるものは何でも売ろう、という結論を出した。
ありったけの食材を助手席に載せて、家に帰る車内。冨岡は自分自身と会話するように思考を言葉にする。
「そうは言っても売れるものは限られているよな。電化製品だとかハイテクなものを売っても使えないだろうし、あまりに目立つと厄介ごとを抱えそうだ。一番身近な食べ物系なんかは売っても大丈夫。武器なんかは文明レベルを確認してから売らないと下手したら戦争を巻き起こしかねないか」
例えば、木の棒で戦っているような世界に鉄の剣を持ち込んで売ったとしよう。すると剣を手にしている者に敵う者などおらず、簡単に世界を制してしまうかもしれない。それが銃や戦車であればわかりやすいだろう。武器の扱いというものは慎重にならざるを得ない。
「でも食べ物系だけでは利益率はそれほど高くないし・・・・・・傭兵の相場はわからないけど『最強』を選ぶとなるともっと利益が欲しいな」
一気に理想の状態へと持っていくにはガラッと変えなくてはならない。
「生活雑貨なら大丈夫かな。でも魔法のある世界だ・・・・・・魔法でどうにもならないところを抑えられるような商品を考えないと。そうだ、石鹸類なんか良さそうじゃないか? もう一度ホームセンターに寄って日用品を仕入れておくかな。あとはアメリアさんに相談して商品を決めよう」
そこまで決定し、冨岡はホームセンターに戻った。向こうの世界でも使えそうな日用品を買い込むと、運転席以外隙間のない車に乗って家に向かう。
残る課題は『最強の傭兵探し』『他の商品の選定』『移動販売の従業員の雇用』『富岡自身の戦力となる銃の購入』だ。
大量の荷物と課題を抱え、冨岡は教会に帰り着く。
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