生きるつもりがなくても腹は減る。

 元から生きる気力はないのだが、死ぬ気力もなくなってきた。


 だからこそ、金を使い果たすまで遊び、その後はゆるゆる死ぬという計画を思いついたのだが、五月病なのか、梅雨のせいなのか、あらゆることにやる気が起きず困っている。


 遺品の整理も遅々として進まない。

 もはや、このままでいいような気もしている。

 ただ、これらのものが私の棺桶に入ると思うと、良い気分ではない。人生最期の旅は手ぶらが良い。


 そんな状態でも、腹は減るし、眠くなるし、髪も爪も伸びる。全部ムダだと言われてる気分だ。散髪や食事をしても、時間が経てばまたしなければならない。


 読書に映画に演奏に旅行。

 生きるのには必要のない行動だが、それこそが本質のような気もする。むしろ食事をして、睡眠をとって、なんてことは野良犬でもやっている。そんなことが重要であるはずがない。


 生きていたいのかと問われたら、そりゃあ生きたい。だが、そのための能力がない。たまたま人間に生まれたから、なんとか今日まで生きながらえただけだ。それこそ野良犬として生まれたなら、とっくに餓死してるか、つまらない事故で死んでいる。蟻なら踏み潰されているし、ネズミなら猫に捕まっている。そういうものだ。

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