紅白が苦痛だ。

 割と親戚付き合いは濃い方だと思う。


 誰かの誕生日だと言っては、集まって飯を食う。

 何とかの記念と言っては、集まって飯を食う。

 正月には飛行機の距離だろうが、やはり集まって飯を食う。


 そこまで広くもない部屋に、酒や菓子を並べられて、紅白を見る。これが苦痛で仕方がない。


 かれこれ十年以上続いているが、紅白なんて、興味があるのは、せいぜい二、三組ぐらいだ。残りは虚無だ。スマホに逃げようとしても、どいつもこいつも年末で浮かれていて、気が滅入る。かといって、自分と同じようなやつを見るのは余計に嫌だ。


 日付が変わった辺りで、解散を宣言されるのだが、それも何だか、そろそろ帰ったらどうだ?という感じだ。好きでやっているハズないだろう。


 スマホを開くが、あけおめメールは来ていない。

 朝起きてから開いても、同じことだ。


 初詣に行こう、というのがなくなっただけでも、感謝するべきかもしれない。私は普段から神社には足を運んでいるが、正月だけは行きたくない。


 もはやお年玉を貰う歳でもない。

 むしろあげる歳だが、今のところあげる相手はいない。これで金まで払うようになったら、本当に最悪だが、もはや逃走してしまうので、次の正月まで生きているかも分からない。

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