第10話 一緒に(最終話)

【涼さん、るいのこと、未来に接点あったの?】


【るいに会えば解るよ】


それから、るいと会った涼は、思いっきり笑顔で、


【るい、ただいま!】


るいは、涼とユキが並んでるのを見て、ため息…


【もう、全て話したんだね、ここに二人揃って…

そっちを選ぶかー、大変だよ、涼ちゃん】


【るい、いろいろありがとうな】


何?何?るいとの会話、もう何でも知ってる仲みたい。るいも涼さんも、なんか、ムカつく!


【涼さん…】


ユキは涼の袖を掴んで、少しムッとして。


そんなユキを見て、るいは


【キャ~ユキ、可愛い!もう、ギューてしたくなっちゃう!】


るいのおふざけに、ユキは


【るい、何ふざけてるの!涼さんはね…】


すかざす、涼は、


【るい、ユキをギューってするのは俺の役目】


ユキは自分だけ解らない。納得いかない。


【涼さん、解らない教えて】


るいはユキが元の世界に戻ったあと、ずっと涼を支えてくれていたらしい。玲奈と引き合わせるため。

もちろんお互い様、るいも涼に助けられていた。


【ユキ、私も涼ちゃんのこと、好きになっちゃったんだよ、でも、前の時ね、もう、この戻る説明面倒だからループって呼ぶ、未来から過去に行く=

ループね、もちろん過去から未来もループ】


るいは、続けて話してくれる。

ちょっと、いたずらっ子みたいな表情で。


【ユキ、涼ちゃん落ちないの、私の魅力に】


涼は笑いながら、


【るい、それはね、妹みたいなもんだからね】


【やっぱねー、ユキも玲奈も大人っぽいもんね、涼ちゃんそういうの好きだもんね、この甘えん坊!】


るいは、このループっの、一回目は知ってるんだ。

きっと、ほんとに好きになったんだろうな、涼さんのこと。解るよ、るい。この人は優しく包んで

くれる。


【もう、話したからさ、俺、ユキと行ってくる】


るいは少し涙目に…そして、


【ユキ、ごめんね!最初で最後!】


そう言うと、涼に飛びつき大泣きして、

ちょっと、ちょっと、るい、それは…


【涼ちゃん…元気でね】


次にユキに飛びつき、やはり大泣きして、


【ユキ、涼ちゃんと幸せにね】


るい、ありがとう。言葉が出ない…

こういうとき、普通は何ていうんだろう。


【るい…】


やっぱり言葉が出ない。涼さんは察している。

二人の頭を撫でて、るいと、別れた。


………………………………………………


【さてと、次は、玲奈に会っておこうか】


涼さん、未練あるんだ、玲奈さんと。

でも、最後だもんね、会っておいたほうが…


【いこう、涼さん。玲奈さんとこ】


涼はじっと目を見て笑った。


【嫌だろ?ユキ、じゃ会わない】


【駄目だよ、これが最後だから】


涼はすかざす、


【最後だから会わないんだよ。玲奈のためにも】


【何で?未練はないの?本当にいいの?】


【じゃあさ、ユキ、俺が未練あるって言ってさ、そこで玲奈に会いに行くって言ったら?】


【………………やだ!】


ユキはうつむいた。涼はまた頭を撫でて、


【素直!いい子!】


完全に子供扱いだ。そういえば、なんで涼さんと会ってから子供っぽくなったんだろう?

この人、女性を幼くされる天才なのかな?


るいも子供っぽくなってたし、不思議。

それでいて、女性を優しく包んでくれて、

居てくれて当たり前、いないと凄く寂しい。


私で良かったのかな?本当に後悔してないのかな?

もっと素敵な女性がいると思うけどな。


【ユキ、その考えてること全部外れてるよ】


【何が、何考えてたか解るの?】


【俺が他にいい人いたんじゃないか?ってこと】


鋭い!会ってる。バレてる。


【あのね、俺にはユキが最高なんだよ、ユキがどう思ってもいいけど、俺の信念は変わらない。向こうの世界でやり直そう】


【ほんとに、ほんとに、大好き、涼さん!】


ユキが飛びついた。涼は強く抱きしめて、

ユキと涼がいた元の世界に、パラレルワールドに…


何も無かったように、続く世界。


二人の気持ちを表す晴天の空、心地よい初夏の風、

今度こそ、本当に、永遠に結ばれた二人。


小枝にとまった二羽の小鳥がささやいてる…

仲良くくちばしを触れ合いながら。

 

【また、会えたね、幸せになろうね】


………………終わり………………













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時空の旅人達 ラグランジュ @space-time

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