第9話  変わる未来

あれから数ヶ月…ユキは涼との関係を続けている。


【ユキ、今度の休みはさ…】

【ユキ、日曜日の海だけどね】


涼さん、ほんとに休みのたびに会ってくれる。

嬉しいけど…いつか出会うんだよね、未来の相手。

その時にこんな関係を続けていて、別れるの辛い。


その時に電話が、警察だ。何かやらかしたのか?

そんな訳ないね、とりあえず出てみた。


【もしもし、この前の財布の持ち主がね…】


お礼がしたいとの内容。ユキは連絡先を伝えた。

後日連絡があり、直接会うことになった。

確かー、そうだ、玲奈さんだ。 


【ほんとにありがとう!凄く大切な写真も入っていたの。ほんとにありがとう】


ユキは戸惑っている。お礼を言わなければならないのはこっちのほうだ。しかし、玲奈さんって、凄く素敵な雰囲気。大人って感じで。モテそう!


【私こそ、あの時はかばっていただいて、お陰様で事故に合わないで、今こうしていられます】


【ユキさん、時々会ってくれる?私、小さい頃から引っ越しばかりでなかなか友達出来なくて、でも話すの大好き、こうしてるとね、とっても楽しくて】


【私こそ、お願いします。お姉さん欲しかった】


【じゃ、時々会おうね、もちろん彼氏とのデート優先!今日会って解ったことだけど、凄い熱烈だったもんね、見ちゃった!ごめんね…】


【何ですか?何処かで?熱烈って?】


【クリスマスパーティー!もう、見てる方がニヤけちゃったよー】


あっ、あのパーティー。玲奈さん、来てたんだ。

意外!モテるから彼氏いると思ってた。


【ユキさん、あのね、意外と人見知りなの。慣れれば平気だけど。そう見えないでしょ。だから余計に彼氏出来ないの、ほしいんだけどねー】


【そうなんですか、意外でした】


玲奈さんにじっと見られてると、なんか吸い込まれそう。凄い奇麗な瞳…いいなー、素敵過ぎる。

あっ、電話だ!涼さんかな?


【すみません、ちょっと電話、いいですか?】


【どうぞ、どうぞ、気にしないで】


ユキは少し離れて電話に、


【ユキ、今、大丈夫?】


るい!久しぶりだ。ほんと無事で良かった。


【未来でね、見てきたの。涼ちゃんの結婚相手、何気に友達になって調べたけど、もし涼ちゃんとその人が接触しそうになったら阻止して。

出会いが早すぎると、タイムパラドックスを起こす可能性が高いから、写真を送るね。画像良くないけど、じゃあね】


本音では、涼さんの結婚相手なんか見たくないけど、仕方ない。私より可愛かったら仕方ない。

涼さんの好みって、解らないからなー。


きたきた、どれどれ。


写真を見た瞬間、ユキは固まった。

うそでしょ!何で!


玲奈さんだ!この雰囲気、画像悪くても解る。

どうして、なんで、タイムパラドックスの方から、

近づいて来てるみたい。


とりあえず、席に戻ったら。玲奈さんが、


【ユキさん、大丈夫?何があったの?私で良ければ聞くよ。彼氏に何か言われた?こんな、可愛いユキさんを…許さん!】


ちょっと、ちょっと、その彼、未来の結婚相手ですけどー、あなたの。


玲奈さんが…弱ったなー、確かにこの人なら涼さん任せても安心。だけどさー、


【玲奈さん、大丈夫です。彼氏関係ないです】


なんか複雑!こんな素敵な人ならさ、喜ぶべきだとは

思うけどさー、最初のるいの反応もそうだけど、

涼さん、あなたは意外とモテますよー。

自覚してないけどね。


あーあ、もう涼さんの相手、素敵すぎるよ。

私を助けてくれて、優しくて、思いやりも…

勝てないな、これじゃ仕方ない。


【そろそろ行くね、ユキさん、ほんとありがとう】


【こちらこそ、また近いうちに】


【そうだ、今度、ユキさんの彼氏紹介して、どんな男性か見てみたいな、それじゃ】


おーい、それは出来ん。絶対に出来ないの。

るいの警告無視することになっちゃう。

これじゃ、玲奈さんと簡単に会えないな。


困ったなー、こういうの。


………………数日後………………


【ユキ、今度、水族館行こう!】


涼さんの誘いだ。会うたびに想いが募る。

でも、玲奈さんのこともあるからなー。

どうしよう…


【日曜日はちょっと、用事あって、ごめん】


【そっか、じゃ土曜日の夜は?】


うーん、早まっただけ…断る理由ないよー、

困ったな。気持ちの整理がつかない。


【ユキ、もしかして迷惑かな?俺一人で浮かれて、ユキと会えればそれで満足だけど、ユキにも都合あるよね。ごめん】


違う!違う!誤解、大きすぎる誤解だー!

もう、仕方ない。


【土曜日なら大丈夫!夜から行こう】


ユキがそう答えると、すぐに涼は、


【じゃ、土曜日に駅で、時間後で連絡する】


涼さん、楽しみにしてくれるの、断れない。

それに悩んでも仕方ない…楽しもう!


玲奈さんのこと、涼さん記憶にあるのかな?

さり気なく聞くってもの、難しい。


………………土曜日………………


涼さんとデート♥思いっきりおしゃれして、

楽しもう。水族館の帰りに美味しいディナーも。


【ユキ、早かったね】


【涼さん、私の早すぎ、楽しみで】


【ユキーーーーー!】


何?何?涼さんが飛びついてきた!

思えば、涼さんスキンシップ取るの上手だったね。

嬉しいけど。照れるよ。


【みんな。見てます。涼さん】


【あっ、ごめん、ごめん。行こうか】


水族館でデート、予定通り美味しいディナー、

食後のデザートを食べている時、


【涼さん、楽しかった。ありがとう】


【ユキが喜ぶ姿が見たくてさ、ところで明日の用事大丈夫?そろそろ帰る?】


そうだった!しまった!用事があることになってた。


【あのね、実は、涼さんのことで考えたいなー、って。一人で日曜日に】


【何、それ、俺のこと?】


もう、聞く!悩んでも解決しない。


【涼さん、この世界の未来の記憶残ってますか?、未来に行ってますよね?】


【ユキ、正直に話すから対等に話そう、言葉もね】


【解った。教えて、未来のこと】


聞く、もう全て受け入れる。


【実は俺、未来で結婚してるんだ。代わってなければ、もう少ししたら玲奈って女性と出会う】


解ってはいたけど、聞きたくなかったな。


【そうですか…それじゃ、私とはいずれお別れ…】


言いかけを遮って、涼は、


【ちょっと待って。ユキ!!俺はさ、ずっと考えていたんだ。玲奈と会ったとしても、ユキと別れない】


えっ、どういうこと?未来を変えるの?

それヤバくない?

私も別れたくないけど、どうしよう…


【でも。その玲奈さんって、女性は?】


【だから、俺、玲奈と会わない選択肢を選ぶ、俺、ユキとずっと一緒に過ごしたい】


ウソー!最高の言葉じゃん、ヤバ、ニヤける!


でも、それは駄目!未来を変えてしまう。


涼はユキの両肩をしっかりと掴んで、


【ユキ、気がついてない?】


緊張ーー!、涼さんに肩握られてる。


【えっ?涼さんのことで?全て知ってると思うけど…何かあるの?】


【俺は玲奈とは人生の中で結婚した。ただし、それは一回目だ】


どういうこと?ユキは混乱してる。


【俺、ユキと出会うためにここに来てるんだよ】


涼は全てを話した。これはTAでも把握していない、新事実をユキは知ることに。


涼はこの世界で未来から過去に行くことが意思出来ることが解った。しかも、時空の狭間を使わずに。

でも、ユキは涼から離れて、


【私は帰らないとならないの、涼を置いて…】


【なんで、結婚していたんでしょ!ユキの世界では?俺も戻ればいいよ】


涼さん、駄目だよ、それは。


【私が嘘ついていたらって、なんで疑わないの!!】

【疑ってよ、ここに残るって言ってよ、涼!】

【だって、涼を幸せに出来ない…あと一回しかないもん…】


涼は、矢継ぎ早に泣きながら話してるユキの口を

塞ぐように軽くキスをして、抱きしめて…

抱きしめたユキの髪を撫でながら、


【そうだね、パラレルワールド間を行ったり来たりしてくれたもんね、ユキは。俺のためにありがとう、使ってしまったね、寿命】


えっ、何でそこまで言う前に知ってるの?

涼さん、あなたは誰なの。


【ユキ、間に合ったよ。もう一人にしない】


【どういうこと?解らないことだらけ】


【俺も同じだけ未来から過去に、同じ寿命を使った。お互い後少しだね】


【涼さん、何でそんなこと。未来で会う玲奈さんは?】


涼は玲奈に全てを話したそうだ。最初は信じなかったが、玲奈の知り得ない未来を次々と言い当てる涼に玲奈は信じるようになってきた。


【さて、行く前に挨拶しないとな、るいにも】


るいにも?涼さん、何回戻ったの?


この先どうなるの?












 





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