第19話 解放

床に降ろされる感覚とともに声が聞こえてきた。

「ありがとうございます」

俺も聞いたことのある優しい声。

美晴のお母さんの声だ。


「何でしょうね?こんな大きな荷物」

お母さんの声に答える、お父さんの声。

「美晴から何も連絡ないのか?」

「いえ、何もないわ」


俺、そして美晴にも恐怖の瞬間が近づく。

大きな箱を開けて、中のDVDをまず確認する美晴の両親。

その後、段ボールはカッターで切り開かれてカッターで、ラップが慎重に解かれていった。


両親からすれば犬の着ぐるみにも驚いただろうが、俺のペニスが娘の犬の着ぐるみに挿さっているのを目の当たりにして、言葉もなかったと思う。

その後、美晴は実家という事もあり、犬の着ぐるみを脱がせてもらい、ヒトイヌスーツをおそらくは切り裂いて脱がしてもらった後は、シャワーを浴びて俺の前に現れた。


俺は着ぐるみのまま、お父さんの運転する車に乗せてもらい、自宅まで送ってもらった。

俺の犬の着ぐるみとヒトイヌスーツを脱がせてくれた美晴。

そして一言。

「あなたのおかげで貴重な体験をさせてもらったわ」と静かな口調で俺を見下して言うと、お父さんと車に乗り実家へと帰ってしまった。


後日、俺の元へ美晴から離婚届が郵送されてきた。


END

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