第18話 出荷
真空パックされてしまったが、香澄たちの声は聞こえる。
「さあ、これからあなた達を有るところへ送ってあげるわ」
そして香澄は声を出しながら、送り先の住所を書き始めた。
M県S市……… それを聞いた美晴が急に暴れ出した。
どうしたのかと思ったが、宛先の名前を聞いて、俺にもすぐにそれがどこか分かった。
俺たちが送られる先は、美晴の実家。
だから、美晴が急に暴れ出したのだ。
俺たちは段ボールへ移されて、隙間に緩衝材を詰められた。
しかし、物にされた俺たちになす術はなかった。
呼吸用のホースだけが段ボールの外に出されて、俺たちは生かされたまま、美晴の実家へ届けられる。
段ボールの封をする前に香澄が恐ろしい事を口にした。
「美晴ちゃんや悟のヒトイヌ工程動画やあなた達の交尾の動画をDVDにして、同梱してあげるから中身があなた達だと、すぐに気づいて貰えると思うわ」
そんなDVDはいらない。
この拘束から解放されたいが、一番助けて欲しくない人にそれをされてしまうのは困る。
そんな事を考えているうちに、視界が暗くなりガムテープの音が聞こえてくる。
何度もガムテープの音が聞こえてきた事から、厳重に梱包された事が分かる。
体が浮き上がる感覚がした後、車へ積まれて何処かへ運ばれる。
俺は今の状況より解放された時、美晴の両親にどの面下げて会えばいいのか思考を巡らせたが、答えが出るはずもなく、集配所の人に引き渡されたところで意識を手放した。
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