第15話 本番に向けて

「香澄、これはどうするんだ?」

それは男の声、しかも聞いた事がある。

だが、すぐに思い出せない。

そして、その声は俺が眠っている間に聞こえていたような気がする。


よくよく考えれば、香澄は美晴にラバースーツを着せ、ヒトイヌにするのもかなり苦労していた。

香澄より体の大きな俺をヒトイヌにするのは、かなりの重労働どころか途中で諦めてしまうだろう。

男の協力者がいたのなら、それも可能だと今更ながらに気づいた。


男は少し離れた所に持ってきたものを広げている。

そして俺たちのところへ香澄とともに近づいてきた。

「悟ちゃん、あんまり調子に乗ってるからこうなるだぞ」

俺を諭すように話しかける口調、俺のことを【悟ちゃん】と呼ぶ人物、すぐに誰か分かった。

上司の佐々本課長だ。

確か、佐々本課長は結婚していた。

そして、香澄の苗字は四菱で実家は金持ち。

2人に共通点が見当たらない。

俺がいろいろ思考を巡らせていると、香澄が俺の心を見透かすように説明してきた。

「主人は仕事で支障をきたさないために、佐々本を名乗ってるけど、本当は四菱なのよ」と。


ここで初めて、俺は全てこの夫婦に操られ、手の上で踊らされていた事に気づいた。

しかし、もうこんな状態では何も抗う事もできず、従わざるを得なくなっていた。


さて、佐々本課長が持ってきたものが気になるが、よく見えない。

そう思っていると向こうからそれが近づいてきた。


それはイヌの着ぐるみ、とはいってもそれはかなり精巧に作られていた。

リアルなイヌの着ぐるみは腹の部分が大きく開き、仰向けの状態で俺たちの左右に並べられた。


「悟ちゃん、この上に仰向けで寝てくれ」

佐々本課長から指示された。

俺はゆっくりと、美晴からペニスを抜いて佐々本課長の指示に従う。

俺は短い手足で苦労しながら、なんとか左に並べられた大きめのイヌの着ぐるみの上に仰向けになった。

「あんたはこっちだよ」

香澄の指示で美晴は右に並べられた小さめのイヌの着ぐるみの上で仰向けになった。


イヌの着ぐるみは背中の辺りにウレタンの様なものが貼られていて厚みを出し、着ぐるみを着るとリアルなイヌになるのだろうと想像できた。

着ぐるみを自分で着ることが出来ないので、佐々本課長が俺の短い足を着ぐるみの後脚の中へ入れていく。

「お前のアソコ、デカイなあ」

佐々本課長が感心したように呟くと俺のペニスをグッと掴んだ。

そして、まだギンギンに勃起したペニスを着ぐるみの股の部分にあいた穴に通した。

つまり、俺のペニスは着ぐるみの外へ出され、丸出しということ。

その後、短くなった腕も前脚に詰め込まれた。


最後にお腹を縦に走るファスナーを閉められる。

また一段と締め付けが強くなる。

首輪とリードをつけられて完全に香澄夫婦の管理下に置かれてしまった。

もちろん、美晴も同じく犬の着ぐるみを香澄に着せられていた。

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