第12話 ヒトイヌ


タブレットには香澄とベッドに裸で寝かされた美晴が映っていた。

動画は固定カメラから撮られたもののようだ。


香澄は美晴の体に潤滑剤を塗り、手先、足先まであるネックエントリータイプの黒いラバースーツを着せていく。

着せ終えると股のところにあるコンドームのような袋状のものを美晴の秘部へと押し込んでいく。

それを見ていて気づいた事があった。

香澄と美晴は体型が似ている事に、つまりあの黒いラバースーツはおそらく香澄のものだろう。


香澄は続けて、口のところがコンドームのようになったマスクを美晴に被せた。

そして、カメラにラバースーツ補修用に使われるボンドを見せるとそれをマスクとスーツの継ぎ目に流し込み、しっかりと接着した。

そんな事したら、ラバースーツが脱げなくなると思うと同時に自分の首元が気になった。

もうすでに俺もラバースーツを脱げなくされている気がした。


香澄はさらに、マスクの口の部分に男根を模したおもちゃを皮のベルトで外れないようにしっかりと固定した。

なるほど、これが美晴、そして俺の言葉を奪っているのだと理解した。


香澄は広いベッドの横に手足の短いスーツを広げた。

これはラバー製のヒトイヌスーツ。

フェチな動画などで見た事はあったが、香澄はこんなものまで準備していたのかと驚かされる。

動画などでは裸でヒトイヌスーツに入れられるが、俺の腕や足の具合から想定すると、そんな生優しいものではなさそうだ。


俺の想定通り、香澄は業務用のラップを手にすると美晴の腕と足を折り畳み、ラップでぐるぐる巻にした。

しかもそれだけでなく、その上からさらに黒いビニールテープをギチギチに巻き、完全に手足を使えなくした。

この状態にしてから、準備したヒトイヌスーツへと美晴を押し込んでいく。

押し込んでいくと表現したのは、美晴の体よりも少し小さいヒトイヌスーツで、ボディラインはもちろん、腕や足も皺が出来ないほどピッチリとしていた。

ヒトイヌスーツを着せると背中のファスナーをかなり力を込めて閉めている様子が伺える。


そして再び、カメラに瞬間接着剤を見せてから、ファスナーに沿ってそれをたっぷりと塗る。

その上から黒いビニールテープを貼り付けてファスナーを隠してしまった。

そして次にニッパーを使い、ファスナーのツマミも切断、そこへも瞬間接着剤を塗り、黒いビニールテープを延長し、ファスナーを全て隠して分からなくしてしまった。

これで自分ではヒトイヌスーツを脱ぐ術は完全に断たれてしまった。


眠っている間に、俺の背中でも同じ事が起こっているのだと確信し同時に絶望した。

俺はタブレットから視線を逸らせた。

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