第11話 現実

突然痛みが走り、目の前が真っ黒になり、目を開くと俺の視界はマイクロホールマスクを被った視界に変わっていた。

俺は夢を見ていたのか?

そこで何度も何度も香澄に謝罪をしていた。

許してもらえなかったが。


俺は今、フローリングにうつ伏せで寝ている。

起きあがろうとして異変に気づいた。

“手が使えない?!“

腕が曲がった状態で伸びない。

それどころか手首も固定されているようで全く動かせない。

ならばと、足に力を込めるが足も伸びない。


俺の頭の中には、美晴がされていた真っ黒な人の様なものに今、自分がされているのだと想像できた。

話そうとして口の中の異物に気づく。

喉の奥の方まで何かを咥えさせられているので、言葉を発する事ができない。


床でモゾモゾしている俺に気づいたのか、香澄が近づいてきた。

「悟、どう?ヒトイヌになった気分は?」

不敵な笑みを浮かべながら、俺を覗き込んできた。

俺は香澄に抗議しようとしたが、それも出来ない。

俺の言葉は奪われ、呻き声をあげる事しかできなくなっていた。


香澄はタブレットを操作して俺の前に差し出した。

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