第5話 ベッドの上

あの後、夫と拗れた結果、夫が出て行ってしまった事は想像できる。

しかし、俺が逃げた後どうなったのか聞いて謝罪する必要があると思い、2階にいる香澄の元へ向かう。


2階の奥の部屋から呻き声のような声が聞こえる。

香澄が何かしているのかと思い、その部屋へ向かう。

ドアを開けると大きなベッドには黒いシーツが掛けられ、その真ん中には膨らみがある。

その真ん中の膨らみから呻き声がしている。


呻き声の正体を確認する為、黒いシーツを手にする。

ラバー製のシーツ。

これは俺が遊びに来た時、いつもベッドに敷いてあり、香澄と交わった後、よくふざけて全身ラバースーツの香澄をこのラバーシーツで簀巻きにして呼吸制御して戯れた。

黒い棒なのに、女性らしい凹凸がなんともいえなかった事も記憶に甦ってくる。


ラバーシーツはベッドの四隅に固定されていたが、簡単に外せた。

シーツの下から出てきたのはベッドにロープとラップで磔にされた真っ黒な人の様なもの。

呻き声はそれから発せられていた。


それは肘から先、膝から下が切り取られた人間だろうか、いやよく見ると腕も脚も折り畳まれている。

胸の辺りに二つの大きな膨らみもある。

中身は女性で間違いなさそうだ。

そして全身がラバーで覆われていた。

この真っ黒な手足の短い人間は、顔はなくノッペラボウで首輪をつけられている。

そして体はロープで縛られた上、ベッドにロープで固定されて動けなくされていた。


「香澄?」

声をかけるとその真っ黒な人の様なものは、

「あああぁあ、ああぁあ!」と動物のような呻き声を上げるだけだった。

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